ご飯の後は洗い物をして、
家のことをやっているうちに寝る時間になった。
松田くんをお風呂に入れて、
橙輝も上がった頃、
一人静かにお風呂に入る。
ケータイを持ち込んで音楽を流すと安心する。
わりとマイナーなアーティストの音楽が流れる。
目を閉じてじっとしていると、
コンコンとノックの音がした。
「な、何?」
「俺」
橙輝の声がした。
見られてもいないのに
慌ててお風呂の中に身を隠すと、
コホンと咳をする声が聞こえた。
「随分長いみたいだけど、
寝てないかと思って」
「だ、大丈夫!今上がるよ」
「そうか」
チャプっとお風呂から上がってタオルを巻くと、
ドア越しにズルズルと音が聞こえた。
座り込んだのがドア越しにでも分かる。
「なあ」
「な、何?」
ふと、橙輝があたしに話しかけてきた。
びっくりして噛みそうになる。
橙輝の返事を待つと、
しばらくして声が聞こえた。
「松田、嫌だったか?」
「えっ?」
「急に泊まること、勝手に決めてごめん」
「あ、謝らなくていいよ!別に嫌じゃないし」
「そっか。ありがとう」
「うん」