『乙女、いってらっしゃい』

ママの声を背に、玄関を出た。

だけど、制服を着ていたのは、“学校に行く”と思わせたかったから。

ーーキランッ

『婚約者だ』

「……っ」

『乙女』

癒しだった。

あたしの中での癒し。

悠の声を聞いてると、安心出来るの。

落ち着くの。

“好き”ってことは分かってるの。

だけど、分からないの。

「分からないっ……助けてっ……」