この部屋には、この人と二人きり。


男と、二人きり。


怖い。


この人にも何かされるかもしれない。


「設楽陵に言っとけ。〝お前はバカすぎるんだよ〟ってな」


右の口角だけ上げて美しく笑う彼。


美しいけど…私を震え上がらせるほどに怖かった。


こんな人に出会ったことがない。


異様なオーラを放っていて、決して誰も寄せ付けないオーラ…。


先生とはまた違う怖さ……。


「へぇー?結構可愛いじゃん。そりゃアイツも惚れるわけだ」


彼はそう言って近づいてくる。