セーヌ川に魅せられて~パリジャンとの淡い恋~






タクシーでセーヌ川に向かった。





あの日見たエッフェル塔をまたここから見ることができた。




あの夜、青く輝いていたエッフェル塔。


私はあそこに上ったんだね、アランと。




大好きなアランとあのてっぺんまで上って、


ずっとくっついていたんだぁ。





「思い出をちゃんと復習しなよ!」




「私達は、あそこのベンチで待ってるから満足いくまで1人でセーヌ川眺めてていいよ!」






私は、昼のセーヌ川を眺めた。




ゆるやかな流れ。


昼のクルージングは夜ほど混んでいなかった。







乗り場付近を見た。





あそこにアランが立ってたんだぁ・・・



かっこよかったなぁ。






あの時は・・・







!!!




え・・・!!!!!






まさか。






会いたいと思い過ぎて、


目が変になっちゃった?








ベージュのニット帽。


こげ茶色の皮ジャン。



破れたGパン!!!!!









「アラン!!!!!アラン!!アラン!!!」





私は幻想かも知れないその人に駆け寄った。





ゆっくりと振り向いた。







「ボンジュール!!」






間違いなくその人はアランだった。




私の頬に触れたアランの手はとても温かく、

私の妄想じゃなく、ちゃんとしたアラン本人だった。





また会えた。




目から大粒の涙が流れた。





アランの目からも・・・


涙が一筋・・・











「レイ・・・レイ・・・」






ゆっくりと抱きしめられた私は、意識がなくなっちゃうんじゃないかと思うくらいに幸せで・・・






「レイ・・・あいたかった。」






「アラン、私も会いたかった。」








アランは、私の手を引っ張って、セーヌ川の上にかかる橋に向かって走った。





そこから見るセーヌ川はとても綺麗で、川を見下ろしながらアランは

私の首にマフラーを巻いた。




「レイ、プレゼント フォー ユー・・・」




「いいの?アラン、くれるの?メルシー!!!一生大事にする!!」





アランはわからない日本語なのに、理解してくれているように感じた。





そして・・・



アランが、私の目をじっと見つめた。






「レイ、また会える?」






頷いた私に・・・



そっと



キスをした。







フランスだから


パリだから


真昼間の橋の上でのキスも


恥ずかしくないね。





アランは、優しくキスをして・・・



ポケットから何かを取り出した。





封筒と名刺のようなものを私に渡した。




「ココ、お店。」




「わかった!あのお店にまた行くから!!」












「レイ、好きだよ。」



「アラン、好きだよ。」






もう一度、キスをした。




アランのサラサラの髪が太陽の光を浴びてキラキラ光っていた。





私は渡された封筒を開けようとした。



「レター??」




アランは人差し指をその封筒の上に乗せて首を振った。




そして、空を指差した。




その先には、飛行機が飛んでいた。





「あとでってこと?あとで読むね!!」





私とアランは手を繋いだまま、その橋の上を何往復もした。





別れるのが寂しくて

ずっと一緒にいたかった。




でも、さよならじゃない。





気持ちが通じ合えた。





だから、昨日のような悲しい気持ちじゃなかった。


すがすがしい別れ。







「オーボアーーーー!!」



「バイバイ!!」




元気に手を振って、笑顔いっぱいで別れた。















嬉しい涙がいっぱい溢れて、見上げた空がキラキラと輝いていた。




忘れない。

このフランスで

このパリで


一生に一度の大きな恋をしたこと。





期間限定だったはずの恋に・・・


少しだけ未来が見えた。





エッフェル塔の下から真上を見上げると、一筋の眩しい光が差し込んでいた。







「アラン大好き!!!!!」




大声で叫んだ私を、大好きな親友が抱きしめてくれた。





日本に帰ったら


すぐにフランス語を習いに行こう。




そして、バイトをいっぱいしてお金を貯めて、


またフランスに戻ってくるから。










「とうとうさよならだね・・・」



日本行きの飛行機が出発する直前、聖も悠希も目を潤ませた。





素敵な旅だった。




ブランドのバッグは買えなかったけど、


もっともっと素敵なものを手に入れた。






ブイーーーーーーン・・・






飛んだ。




どんどん小さくなるフランスの街を見つめながら、


アランとの思い出を思い出す。



私・・・キスしちゃったぁ。




あのアランとチュー・・・だよ。





「あ!!!」




アランにもらった手紙を思い出して、興奮して鞄の中から手紙を取り出した。





「何それ!ラブレター?」




「わかんない・・・」





フランス語で書かれた手紙を、ゆっくりと解読する。




聖に借りた電子辞書で調べながら、アランの想いを理解していく。





「うわぁ・・・・!!!!!」








手紙を読み始めて、2時間が経過していた。






手紙にはこう書かれていた。





【レイに会えて本当に良かった。


 しばらく会えないけど、僕の気持ちは変わらない。


 1年後の今日、この場所で待ってます。アランより】









どんどんアランとの距離は遠くになっていくのに、

アランを近く感じていた。




離れても変わらない。



私だって、ずっとアランを思い続ける。





大好きな人が同じように自分を好きでいてくれるって

こんなにも幸せな気持ちなんだと知った。





帰りの飛行機で、爆睡する2人を横目にずっとフランス語の勉強をしていた。




アランが日本語を覚えようとしてくれたように・・・


私もフランス語を覚えよう。












アランにもらったマフラーを首に巻いて、

私はアランに手紙を書いた。




まだ下手くそで、伝わらないかも知れないけれど・・・


きっとわかってくれる。




アランなら。





2人の笑顔の写真と一緒にアランの店に送ろう。





私は、飛行機の窓から下に見える雲を眺めながら、


素敵な旅を思い出していた。





出会えて良かった。



あの店に行って良かった。




勇気を出して良かった。





アランを好きになって良かった。







ジュテーム・・・アラン。





私、1年後、アランがびっくりするくらいフランス語ペラペラになって


素敵な女性に変身してるから。



セーヌ川の上にかかるあの橋で・・・


ちゃんと私を見つけてね。







~END~





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