プロローグ
「サユ先輩、ここなんですけど」
「あー、分かるよ、難しいよね。ここはね、少し声低く、前のめりになる感じでやってみたら?」
「ありがとうございます!」
いえいえ、と薄く微笑んで後輩を練習へ送り出した。
私も行かなければ、と心の中で軽く喝を入れ、通し練習にまた戻る。
演劇部に入ったのはごく簡単な理由で、たまたま同じ学校だった知り合いの先輩に楽しいからやってみない?と誘われたからだ。
自分で言うのもなんだと思うけど、この部の中では中々うまい方になったのではないかと思う。
誰だって主役は欲しい。
だけど、それなりに演技力のある私でも絶対に主役は取れない。
笹本詩夏(ささもとしなつ)。
愛称さっしー。
勉強は壊滅的な成績を残すものの、演技や体育はずば抜けて良い成績を残す。
その実力は折り紙付きで、小学生の頃にはバレーボールの全国大会にエースとして出場。
公立の中学校に進んだものの、バレーボール部がなかったため、中学生から演劇部に入る。
その後めきめきと頭角を現し、昨年全国放送のドラマデビューを果たした。
顔面偏差値も優に70を超え、"バカな天才超新星"として話題を集めている。
何の嫌がらせか、私はさっしーと同じ学校の同じ学年の同じ部活。
どれだけ頑張っても超えられないものはあると悟ったその日から、私は主役という憧れを捨てた。
私が選ぶのは悪役。
いつも悪役。
シンデレラなら意地悪なお姉様。
いばら姫の魔法使い。
そんな悪女を、演じている一瞬だけ私が優位に立って、暫くするといつの間にか主役が幸せに、悪女は不幸せになっている。
それが何となく私のようで、それでも特に意味もなく、悪女を演じるのが日常だった。
__悪女が陽の光を見てはいけないのた。
「サユ先輩、ここなんですけど」
「あー、分かるよ、難しいよね。ここはね、少し声低く、前のめりになる感じでやってみたら?」
「ありがとうございます!」
いえいえ、と薄く微笑んで後輩を練習へ送り出した。
私も行かなければ、と心の中で軽く喝を入れ、通し練習にまた戻る。
演劇部に入ったのはごく簡単な理由で、たまたま同じ学校だった知り合いの先輩に楽しいからやってみない?と誘われたからだ。
自分で言うのもなんだと思うけど、この部の中では中々うまい方になったのではないかと思う。
誰だって主役は欲しい。
だけど、それなりに演技力のある私でも絶対に主役は取れない。
笹本詩夏(ささもとしなつ)。
愛称さっしー。
勉強は壊滅的な成績を残すものの、演技や体育はずば抜けて良い成績を残す。
その実力は折り紙付きで、小学生の頃にはバレーボールの全国大会にエースとして出場。
公立の中学校に進んだものの、バレーボール部がなかったため、中学生から演劇部に入る。
その後めきめきと頭角を現し、昨年全国放送のドラマデビューを果たした。
顔面偏差値も優に70を超え、"バカな天才超新星"として話題を集めている。
何の嫌がらせか、私はさっしーと同じ学校の同じ学年の同じ部活。
どれだけ頑張っても超えられないものはあると悟ったその日から、私は主役という憧れを捨てた。
私が選ぶのは悪役。
いつも悪役。
シンデレラなら意地悪なお姉様。
いばら姫の魔法使い。
そんな悪女を、演じている一瞬だけ私が優位に立って、暫くするといつの間にか主役が幸せに、悪女は不幸せになっている。
それが何となく私のようで、それでも特に意味もなく、悪女を演じるのが日常だった。
__悪女が陽の光を見てはいけないのた。