―私は野咲幸花(のさきこはな)。
私は今、あの人のそばにいたい。
私を綺麗な花にしてくれた、あの人。
彼は今…どこにいるのかな。

あれから連絡が途絶えて…生きてるのかどうかもわからない。

…どこにいるの。会いたい。

(13年前)
母「幸花ー?もう家出るの?」

幸花「うん!今日から朝練始まるから!いってきまーす!」

母「そうなの、行ってらっしゃい。気をつけてね?」

幸花「はーい!」

────自転車に乗った。私は朝練に遅刻しそうで、全速力で学校へ向かった。入学して1週間。バスケ部に入って初めての朝練。通学途中の角で、彼と出会った。

幸花「急がなきゃ…!…あっ!!」キーッ!!

??「うわっ!!」ガシャン!!

「危ね…大丈夫?!」

幸花「あっ…うん。ごめんなさい、そっちこそ大丈夫??」

「大丈夫。こっちが見てなかったのに、謝るなんてよっぽど優しい奴なんだな♪♪」

幸花「い、いや…その」
ガサッ
幸花「あっ!ちょっと!」

「同じ学校だろ?持ってってやるよ!お詫びお詫び!」(自転車を漕ぎだす)

幸花「えっ?!いいよそんなのー!まってー!」

―この時、突然私の荷物を持ってくれて、偶然一緒に登校をする事になった。自転車を漕いでる間も、会話が弾んで…楽しかった。

この気持ちはなんだろう。

キーッ(自転車を止める)
幸花「あっ、ありがとう。荷物持ってくれt…」

「いいよ。クラスどこ?そこまで持つよ。」

幸花「い、1年3組…」

「3組?いや同じクラスじゃん!」

幸花「えっ?!そうなの?!」

「おいおいー、じゃあ俺の名前も知らないのか?」

幸花「ごめんなさい…」

「おいすぐ謝んなよ笑いいよ、入学したばっかなんだから。」

「俺、仲村幸史。」

「幸せに史って書いて、幸史。お前は?」

幸花「幸花…野咲幸花。」

幸花「幸せな花って書いて、幸花。」

幸史「へえー、じゃあ幸せ同士だな!」

幸花「そうだね…笑」

幸史「あ。やっと笑ってくれた。やっぱ笑顔の方がいいよ。幸せを呼ぶ花にならないと。ね。」

幸花「どうして由来知ってるの?」

幸史「え、当たってんの?!」

幸花「うん…凄いね」

幸史「あは、おいおい俺達運命じゃね?!」

幸花「うっ…?!」
ガサッガシャン!!
幸花「あっ!ごめんなさい!!」

幸史「あっははは、動揺しすぎ。笑」

幸花「…笑」
キーンコーンカーンコーン
幸史「うっわやっべ!!急ぐぞ!!」

幸花「あっうん!!」

―この時、恋をするなんて…

幸史「はぁ…ギリギリ間に合ったな…」

幸花「うん…はぁ…疲れた。」

幸史「そうだな。笑」

幸花「ふっ…ははっ笑」

幸史「じゃ。朝練頑張れよ。」ガサッ(荷物を渡す)

幸史「何とか朝練の予鈴には間に合ったからな。」

幸花「…あ…ありがとう。」

幸史「♪」(ふっと微笑んで教室に先に入る)

優里「あれー?野咲さんおっはよ〜。」

幸花「お…おはよう」

麻里加「ちょっと、これを説明してもらいたくってね?ふふ。」

幸花「【クラス最悪、特に香山優里、篠川麻里加、宮崎香奈。授業中前の席と後ろと右にいて、うるさい。集中できない。】?!」

幸花「ちっ、違う!!こんなこと私が書くわけな…」

香奈「書いてないって証拠どこにあんのよ!!」

幸花「そ、それは…」

優里「許してほしかったら…」

幸花「え…?」

優里「ねぇ…?麻里加」

麻里加「…許してほしかったら。幸史に二度と近づかないで」

幸花「え?」

香奈「え?じゃないよ。幸史は私の彼氏なんだけど。」

幸花「そうなんだ…」

優里「そうなんだじゃないよ。こんなことして。その上香奈の彼氏まで奪って、あんた一体どういうつもり?!」

幸史「どういうつもりなんだろうな。」

幸花「幸史君…」

麻里加「ほんっと。幸史の言う通り。」

幸史「そうだな…ほんっとに最低だよな。」

幸花「ごめんなさい…でもほんとに私じゃないの!!こんなこと思ってもないし、書いたりなんかしな…」

幸史「だから謝んなって。」

幸花「え…」

幸史「お前は悪くねーんだから」

幸花「…え?」

香奈「…ちょっと、幸史?!」

幸史「お前さ。いつから俺と付き合ったことになってんの」

香奈「え…?」

幸史「俺、お前が俺に一目惚れしたって言われて、ありがとうとしか言ってないよな?」

香奈「で、でもその後…」

幸史「確かに言われた通りに遊びにも行った。それだけだろ」

優里「ちょっと、香奈どういうこと?告ったんじゃなかったの?オッケーされたって言ってたじゃない」

麻里加「なにそれ。香奈ださいよ。恋愛分かってなさすぎ。」

香奈「ごめん…ごめんなさい…」

幸史「で?謝る事はそれだけか?まだあんだろ。」

香奈「え?」

幸史「その書き込み。お前だろ」

優里・麻里加・幸花「えっ?!」

香奈「…ちがう!!私じゃない!!信じて!!」

幸史「…何が違ぇんだよ…コメント見てみろよ。」

【かな、幸花の机に虫入れといたよ。】

香奈「え…知らない!誰よこんなコメントしたの!!」

幸史「お前の友達だろ。証拠はあるんだ。いい加減認めろ。いじめとして先生に報告してもいいんだぞ。」

幸花「幸史君…」

香奈「…っ…だって…!幸史君が最近…野咲さんが可愛いとかタイプだとか言うから…嫉妬で…」

優里「香奈…あんたを信じて損したよ。」

麻里加「最っ低なのは…あんただよ。もう二度と…野咲さんに手出さないで。」

香奈「優里…麻里加お願い…!友達ではいさせて…?お願い…」(涙)

優里「…香奈。それは虫が良すぎるよ。」

幸花「香山さん…篠川さん…」

(昼休み)屋上
幸史「幸花、大丈夫か?」

幸花「うん…ありがとう。信じてくれて、嬉しかった。」

幸史「…だってお前があんな事するはずないって…思ったから。」

幸花「…1つ…聞いてもいい?」

幸史「うん?」

幸花「何で、助けてくれたの?」

幸史「…」

幸花「…ごめん。やっぱりいいよ。」

幸史「…好きだから。」

幸花「えっ」
ガサッ…カラカラ…(弁当が落ちる)

幸史「あっ…」

幸花「ご、ごめん。動揺しちゃって、」

幸史「いいよ。これ食べな。」

幸花「え?でも…幸史君のお昼が…」

幸史「ふふん、こっちあるから♪♪」

幸花「…ふふ。用意がいいね♪」

幸史「だろ?笑」

幸花「…うん。」

幸史「……返事はすぐじゃなくていいから。」

幸花「…?」

幸史「…いつまでも待ってやる。お前の為なら。」

幸花「…うん。ありがとう。」

幸花「…私…幸せだな…」

幸史「ん?」

幸花「こうして、誰かと空を見ながらお昼を食べて、朝一緒に登校して、何か…恋してるって感じ。」

幸史「幸花…それじゃ…」

幸花「…私も…好きだよ。」

幸花「こ…幸史の…こと。」

幸史「…」
ガサッ
(キス)

幸花「えっ…?」

幸花「…ふふ。幸史、海苔の匂いがする。」

幸史「え?嘘だろ。俺うがいしてくる」

幸花「うがい?笑」

―幸せだった。幸史と付き合って、色んなことを話して、1ヶ月経っても、3ヶ月経っても、
…高校2年になっても。喧嘩は全くしなかった。

何回会っても、話は尽きない。

高校3年になって夏になった頃、そんな幸せな日常は壊れてしまった。