ガヤガヤと騒いでいる生徒たちは、クラス替えの紙に夢中だった。
教室や廊下から聞こえてくる、一年間よろしく!という、聞きなれない人たちの声が、転校したんだと思い知らされる。

地味でいなくちゃ。
目立たないようにしなきゃ。
陰キャの方が楽。
俺はこれを貫き通さなきゃ。

虐められても圧力かければいい。
とりあえず、誰にもバレないようにしなきゃなんないし。

二面性なんて誰にでもある。
小さいとき演技やっといてよかったなんて、今更考えるとは思わなかったな。
そんなことを考えながら、理事長室で待っている。
時計は今、8時半。始業式は9時からだから、30分間、何をしていようか?
これから先どう過ごすかもを少し考えて、無難に過ごす方法をスマホで探すことにした。