「えええ!?そんなに友達いや!?」
「うんいや。」
またも即答。
だって友達とか意味わかんないし。
「即答!!!あむちん酷い!!」
「あたし、あむちんって呼んでいいって言ってないって言ったんだけど、無視ですか」
「ねーえー友達になろーよー!」
「無視なんですか」
「あーむーちーんー」
「...無視なんですね」
うっわ腹たつ。
こいつマジで無理だわ。
「じゃあ友達になってくれないとあむちんって呼ぶことにするよ!」
いやもうあむちんって呼んでんじゃん。
ああめんどくさい。
「はぁ...。仕方ないな。友達になればいいんでしょ」
「うん!やったぁ!あむちんよろしくねー!」
「あんたなんであむちんって呼んでんの」
「えー?呼んじゃダメー?」
笑顔で聞いてくるこいつに殺意が芽生える。
「ダメに決まってんでしょ」
「ちぇー。しょうがないなぁ。じゃああむりんって呼んであげるねー!」
「全然変わってないし!」
あむちんもあむりんも変わんないわ!
「もー怒らないでよあむりん〜」
いや怒らせてんのはあんたなんですけど。
「そろそろ黙ってくれるかなぁ?宍倉さん。」
「だからなんで苗字なの!?しかも怖いし!」
ちょっと人に向かって怖いとか、失礼極まりないんだけど。
「宍倉さんが変な呼び方しないんだったら心織って呼んであげるよ。」
「そんなの卑怯だぁ!!」
うわぁぁんとわかりやすい泣き真似をするこいつに溜息をつく。
しばらくこのままにしておくか。
なんて思った瞬間、がばっと宍倉心織は顔を上げた。
「ぅぅ...しょうがない。愛夢って呼ぶよ...」
「じゃああたしも心織って呼んであげる。」
あたしが宍倉心織────────もとい、心織から時計へと目線をずらすと、下校時間の1分前になっていて。
ああ、もう家に帰れるんだ。
そう思った。
鐘が鳴り、あたしはすぐに席を立つ。
先生は「もう帰っていいぞー」と気だるそうに言った。
机の横にあったリュックを持ち、扉に向かう。
「あ!愛夢待ってよー!」
なぜ付いてくるんだ心織は。
そしてなぜあたしが心織を待たないといけないんだ。
ああもう本当にめんどくさい。
「...なんで」
「なんでってそりゃあ一緒に帰りたいから!」
「あたしは1人がいいんだけど」
「愛夢どっち方面?」
結局心織はあたしの言葉を無視して付いてきた。