「あーむっ!」
わぉ。1限目が終わってもこのテンションなんですかい。
どれだけ体力あるんだよ。
そういう問題じゃないのかな。
「ねー遊ぼーよー」
「遊ばない。」
文句を言い続けている心織は気にしない。
あたしは美術の教科書と筆記用具、貴重品を持って席を立った。
それを見て、また心織が騒ぐ。
「あ、愛夢まって!一緒に行こー!」
心織は静かにできないの?
本当うるさい。
あたしは返事をせずに廊下に向かう。
「えぇ!待ってよー!」
慌てて追いかけてくる心織に、なんでそんなに一緒に行きたいのか疑問に思う。
だって別に1人で行動すればいいでしょ?
“友達”とかいうのは、一緒に行動しないといけないわけ?
意味がわからない。
走ってあたしの所に来た心織を横目に、なにも言わずに歩く。
「愛夢は美術得意?」
「...普通。」
あたし、中学の時成績良かったっけ?
そもそもなんでこの学校に入ったんだっけ。
中学の時、あたしなにしてた?
いじめられたこと以外、何も覚えていない。
小学校も、あの日よりあとはいじめられた記憶しかない。
...あたしの記憶って、全部いじめ?
生まれてからきっと、あたしは悲劇のヒロインみたいな人生を送っているんだろうな。
悲劇のヒロインなんてなりたくないけど。
「...ねえ心織」
「愛夢から話しかけてきた!!なになに!?」
心織どこに感動してるの。
あたしから話しかけてきたって、あたしだって話しかけることくらいするわ!
「.......」
「冷めた目で見ないで!?」
「テストで学年総合1位を取れば、授業出なくていいんだよね?」
「え、無視なの!?それで何その質問!」
「いいんだよね?」
「また無視かい!.....確かにテストで総合一位なら授業も学校も休んでいい、って言ってたけど」
「...じゃあさぼる。」
「えぇ!?だってまだ授業受けてないよ!?1回も!」
「うん、平気。じゃ、先生によろしく」
あたしはそのまま、旧校舎へ繋がる渡り廊下の方へ足を進めた。
心織がなんか叫んでるけど気にしない。
授業とか退屈だし。
授業を受けるくらいなら、自分で勉強した方が身につく。
あたしに授業を受けるメリットはない。
あたしはたまたま目に入った視聴覚室の中に入った。