「ねー、蘭」

ソプラノの声が耳に入ってきた。

後ろを向かなくったって、分かる

その声の持ち主は、すっごく可愛いくて

自慢の親友 高坂瑠璃

「何?」

「私ね、好きな人が出来たみたい!」

「また?どーせ、助けてもらったその勢い
で一目惚れしたんでしょ?」

「ばれたか〜、えへへ♡」

自分の見せ方を分かっているのか照れた顔は

天使みたいに可愛い

「…で、相手は?」

「それは………」

「キャ───(*ノдノ)───ァ」

瑠璃の言葉は大勢の女子の声によって遮られた。

「うるさ…………」

女達が騒ぐのには理由がある

鈴音高校には、昔からの正統派の族がいるからだ。

老人・女・子供には優しいく

手を出さないのがルール

薬も御法度

毎日毎日飽きないのかこうやって騒ぐ始末だ

「で、瑠璃?」

「……………」

「…………瑠璃?」

ずっと一点だけを見つめて固まってしまった瑠璃

私も瑠璃の視線だけを頼りに目で追っていく

「…カッコイイ」

小さくだけれど

鈴が控えめに鳴いたような

甘い声が聞こえた

「え?瑠璃?」

「私ね、あの赤髪の人を好きになったみたいなの」

「は?ほんとに言ってんの?」

赤髪の人物をみると、

山瀬慶 高校一年生

私たちより年下にも関わらず、

黒龍の幹部にのし上がった

力を備えた人だった。

そして、山瀬慶は女嫌いで有名だった。

だからなのか、必要以前に

女は近づがないのが

女どもの絶対的なルール

それも暗黙のね

「へぇ〜、女嫌いで有名な人が瑠璃を助けるとはね」