「ねえ、私の名前知ってる?」


私がそう聞くと、宮村くんは顔を上げては?というような表情をする。



「知ってるよ。隣の席の渡辺だろ?」


「ふふ、正解」


私はにやっと笑って宮村くんが座っている階段の一つ前に座る。



「…変なやつだなお前。振られて名前知ってるって聞くやつ初めて見た」


ははっと力なく笑って下を向く宮村くん。



笑う気分じゃないなら、無理して笑わなければいいのに。



ずっと見てたから、そんな顔みたくないよ。