クラスの女子が泣いている。

中学校の卒業式が終わったからだ。


僕の頭の中は、みんなと別れるのが悲しいとか寂しいというより他の事で頭がいっぱいだった。


それはよくある話で、卒業式の日に好きな人に告白するという事だ。


今は卒業式が終わりホームルーム中で最後に担任の先生が何かを言っている。



『卒業してあなた達は別々の道を歩こうとしている。しかし、どの道を進んでも決してあきらめ…。』

そんなような事を言っている。


だけど僕はどのタイミングで何と言うかそればかり考えていた。


そして頭の中で何度も彼女に告白した。


その度に僕の胸は熱くなった。


気がつくといつも怒ってばかりいる小柄な先生の目から、大粒の涙があふれ出ていた。


しかし、それを拭おうとせずに必死にしゃべっている。

間もなくして先生の話が終わり、学級委員のマチコさんが終わりの号令をかけた。


『きりぃーつ！礼!!!』

その声は力強く、涙を絶対に流さないようにこらえているような声だった。


僕は焦った。


彼女に告白する最後のチャンスがせまってきていたからだ。