先輩の家は、案外狭かった。
でも、あまり散らかってない。
男の一人暮らしって、こんなものなのかな…。

適当に座ってて?

ソファにもたれて床に座ると。

コーヒー…飲める?と、先輩が笑う。

飲めます!コーヒー好きです。

好きです。と、言ってから内心また焦る。

あたしが、好きだと言いたかったのは
コーヒーなんかじゃない…。

テーブルに、2人分のコーヒーを置き、
ちょっと離れて先輩は座った。

何から聞いたらいいのかわからなくて、
ちょっと黙ったままいたら。

先輩は、観念したようにポツリポツリと
話し始めた。

誕生日に…プレゼントありがとう。
今更だけど。
から揚げもオニギリも。

ビックリしたんだよね…。
プレゼントもらったことも、なんだけど。

ゆっくりと。言葉選んでるように。

でも、あたしを見ようとしない。

少し冷めたコーヒーのカップに置いた
あたしの両手に視線を落としている。

俺ね。
たぶん、あの誕生日プレゼント
もらう前から…気になってたんだと思う。


…え?え??
あたしを!?え?

パニックになってるあたしを尻目に、
またクスクス笑い出す先輩。

え?うそ。
もしかして冗談??え?

そうやって、表情がコロコロ変わるとこ。
最初は、面白い子だなと思って
見てたんだよね。

そしたらさ。
もう考えてることが顔に出すぎで。
素直なんだなぁと思って。
そのうち、笑ってても、怒ってても…


んーと、…まあ、そう言うわけで。

あのクシャクシャな笑顔で照れている。

つられて、こっちまで赤くなる。
はー、もう熱が出そう…。