ひーくんのことを思いながら、ぼけぼけ授業を受けてたらいつのまにか放課後になっていた。
ざわざわと皆が教室から出て行く中、教室掃除のメンツだけがちらほら残り始める。
「ねー、遠藤さーん」
ほげ?
同じクラスの一番派手なグループにいる名津美ちゃんから不意に話しかけられた。
「ちょっといいー?」
「あ、うん」
私は、どちらかというとクラスの中で喋らない方で、
名津美ちゃんとはどっちかというと正反対な方のグループにいてた。
だから、話しかけられるだけでちょっと萎縮しちゃう。
「放課後暇?」
「へ?」
「いや。放課後暇かな?って」
「あ、うん…なんもないけど…」
「じゃ付き合って!」
え
「…どこに…?」
私が名津美ちゃんと放課後一緒にいるとか、ありえない。
想像できません!
カフェ?マック?
一緒にワイワイ喋ってる想像すら出来ない!
そんなビジョン立ってませんけど!
「どこって、合コンなんだけどさ」
「…あ、そっかぁ」
合コンね、合コン。
あの良く高校生になったら漫画でよく見る。
「合コン!?」
「そうそうー、女子1人欠場してさぁ〜。男子の方が多かったら上がんないし。暇そうなの遠藤さんしか居なそうだったし〜。
ダメだった?」
ダメ、とかそういう問題じゃなくて!ね!
そもそも私そんな派手系じゃないし!
そもそも彼氏が!ひーくんが!!
「あ、もしかして遠藤さん彼氏いる?」
「え、あ、う…うん」
名津美ちゃんは、私の返答に少し困りながらも
「んー…頭数って事で!カラオケだけ楽しんでくれればいいよ!!!
ね、お願い〜、もうすぐ時間なのー」
名津美ちゃんが私の両手を握って、眉間にしわを寄せながらそう言った。
「うー…うん、わかったよ」
ひーくんには後でちゃんと説明して、
とりあえず、飲み物飲んで、ソフトクリーム食べて…
やましいことはないもん。
うん、大丈夫だ!
…私じゃ役不足かもしれないけど。
「あざっ!じゃあいっくよー!」
決まった途端、名津美ちゃんは私の手を思いっきりがっしり握って歩き始めた。