「葉月ぃー、今日一緒に帰ろぉーーー」
学校に着くなり、私は隣のクラスのドアから、友達の名前を呼んだ。
一瀬葉月-イチセハヅキ-
中学の時からの友達で、勉強は苦手だけど、運動神経が良くて、女の中の男!って、感じのイメージがする子。
男子とも仲良いし、良くいろんな部活の助っ人もしてる。
ちょっと私の自慢の友達。
「ん、はるじゃん。佐渡先輩また塾?」
肩くらいまであるポニーテールを気だるげに揺らしながら、葉月が歩いてきた。
「そーなの。葉月今日助っ人とかないでしょー?」
「ん、ない。けど今日はパスー」
「え、なしたの?」
「弟迎えに行くのさ、今日母さん仕事遅いから」
「そっかぁ…それならいーやぁ。ありがとね、また帰ろー」
葉月には、今年年長さんに上がったばかりの弟の未来-ミライ- くんがいて、
おばさんは、保険会社に働いてて、たまぁに遅くなるから、葉月が幼稚園に迎えに行ってた。
学校から結構離れてて、迎えに行くときはすごい大変そうだなぁて。
けど、葉月的にはいいランニングになるから、しんどいとは思ってないみたい。
「すまんね、はる」
申し訳なさそうに両手を合わせて、葉月が謝ってくれた。
「全然!!!おねぇちゃんがんばっ」
そう言って、私は自分のクラスに戻った。
しかしまぁ、今日は1人かぁ。
帰ってもやることないしなぁ…