「お前、まだ付き合ってんの?はるちゃんと」
俺は、踏み入れちゃいけないと思ったけど、雑談程度にそう聞いた。
はるちゃんの名前を出した途端、佐渡は、元の佐渡に戻ったみたいに
優しげに微笑んだ。
「はるとは、まだ続いてる」
「へぇ、長いな」
俺は、表情が変わった佐渡に内心焦りながら、平穏を装った。
「はるがさ」
佐渡から口を開いた。
「新しい友達出来てさ。多分その子にやってもらったんだろうな…化粧してたんだよ」
合コンの時の写真だ。
俺のアドバイス聞いてくれてんだなぁ、はるちゃん。
「ちょっと前まで、ひーくんひーくんってなってたのに、大人になったよなぁって」
「ん?今もそうだろ?」
俺が会ったはるちゃんは、そんな風に感じたけど。
「…なぁ、高崎。俺さ」
佐渡はまっすぐ俺の目を見た。
ただ、何を考えてるのか、何を言いたいのか。
俺には全く想像もつかなくて、
やっぱり怖いと思った。
「お前がはるを好きだって知ってるよ、昔も…今も」
「なわけねぇよ」
「否定するならするで構わない。けど、俺は」
「俺は、はるちゃんに助けてもらったけど、その感情は持ってないから安心しろって」
俺は、人を好きになっちゃいけない。
また、真昼ちゃんのように傷付けて、傷付けて、そんな風にしか、表現できない。
「俺は、はるの一番になりたいんだよ。これからも」
「…は?高崎…お前いきなり、のろけ?」
「どうしたら一番になれるのか。俺なりに考えて、考えて」
高崎の様子がおかしくなった。
「思いついたんだ、最善の方法。」