「俺はさ、高崎。」
佐渡と会ったのは、はるちゃんと会った合コンの2日後だった。
たまたま、遊んでた場所があいつが通う塾の近くだったのが、偶然を引き起こした。
はるちゃんにこの間会ったばかりで、今度は佐渡かよって。
そん時ばかりは、ほんと偶然って重なるんだなって、笑った。
ただ、俺が会った佐渡は、昔の事を話せるような感じじゃなかった。
目の下もクマだらけ。
顔もやつれて。
髪の毛も伸びっぱなし。
放心状態で何考えてんだかわかんない。
そんな感じの印象だった。
「佐渡。お前、大丈夫か?」
俺が佐渡に声をかけれたのは、それが精一杯だった。
色々聞きたいことはあったけど、ほんとにそれしか言葉が出てこなかった。
ひーくん、ひーくん
って、楽しそうに佐渡の事を話すはるちゃんの印象とは、全く違った。
「高崎、か?」
伸びっぱなしの前髪が揺れて、かすかに片目が見えた。
「おう、久しぶり」
俺は、平然を装って佐渡にそう言った。
「久しぶり。元気そうだな」
表情を1つも変えない佐渡が、その時ばかりは怖いと思った。
本当に会ってから、何も表情が変わらなかった。
こいつは、一体、誰だよ。
そう思うくらい、昔の友人が怖いと思ってしまった。