「私、ひーくんが彼氏さんになってくれて、毎日すっごい楽しいよ。

もちろん会えない時もいっぱいあるから、寂しい時もあるけど。

けど、ひーくん頑張ってる!って思ったら、私もがんばろーって思うもん」




「何だそれ。はる本当変わってるね」



ひーくんはすっごい照れてて、私の方を見てなかった。



「えへへっっ」



ひーくんと並んで歩くなんて、今年に入ってから初めてに近いくらいで



私もドキドキが止まらなくて、ひーくんの顔をしっかりとは見れなかった。




付き合いたて。



みたいなそんな感覚がして、ちょっと心が落ち着かなくて、ずっと、ソワソワしてる。



多分、ひーくんもおんなじなんだろうなって。



隣で歩いてて、そう感じた。






「はる」




ん?




「本当に似合ってるね。可愛くなったね」



いきなり、ひーくんが褒めてれた。



照れてるのか、私の方は見てなかったけど。





「…そ。そうかな…っ」



直接言われるとすごい心拍数が上がる。



不意打ちでこられたのが余計。




「…うん、本当に。俺にはもったいないくらいだよ」




ひーくんは、そう言って私の方を見た。



「あ、え…あっと、ありがとう…っ」



ちゃんと、私の方を見て話してくれるなんて、いつぶりだろう。



ひーくんの真っ直ぐな目が、忘れられない。







「…ひーくん?」


しばらくずっと見られてて、思わず呼んでしまった。



ちょっといつもと違うような感じがして、心がざわめいた。




「はる」



ひーくんは、黙って私を見ながらそう言った。



「な、なんでしょう…」



「何でもないよ、ただ呼んだだけ」




「え」



「…ちょっと困った顔が見たかったんだけど。想像してたより…その、面白くて…っ」



「え」



ひーくんは、口元を隠してケラケラと笑い始めた。



もしかして、からかってた?!


ざわめいた心返して!



「ちょっと!ひーくん!!」




「ごめんごめんっ、ほら!いたずらしたいなって」



ひーくんは本当に楽しそうに私から遠ざかって、笑ってた。



私もひーくんにしてやられた!と思って、走って追いかける。



背中に触れそうな距離になったら、私はひーくんの背中をポコポコと叩いた。



「ごめんってっ!」



ひーくんは楽しそうにそれを受けた。