「ひーーーくん!!」
葉月と名津美ちゃんが心配してくれた月曜日。
放課後になって、ひーくんからラインが届いていた。
『今週末、塾無くなって会えそうなんだけど、予定空いてる?』
即座にメッセージ返して、葉月と名津美ちゃんに報告して、
二人とも喜んでくれた。
「久しぶり。はる」
待ち合わせ場所に来たひーくんは、いつものようにおっきい荷物を持ってなくて
「…あれ?今日は勉強じゃないの…?」
そう聞くと、苦笑いして
「しないよ。今日は息抜き」
そう頭を撫でてくれた。
「い、いいの?!受験とか…テストとか、大丈夫なの?!」
「大丈夫。そんな心配しなくても大丈夫」
ひーくんは、相変わらず苦笑いだった。
「勉強ばっかりじゃ、はるもつまらないでしょ」
「そんなことないよ!私、ひーくんと居れるならなんだっていいもん!…ついでに私も勉強できるし!」
「そっかそっか。ありがとね」
ひーくんは、やっと普通に笑ってくれた。
「今日は、はると息抜き。どこか行きたいところある?」
行きたいところ…かぁ
勉強だと思ってたから、パッと思いつかない。
「無いなら、俺に任せてもらおうかな」
「え!?ひーくんどこ行きたいの!?」
「秘密」
「え?!え!?どこ!?どこ行くの!」
「言ったらつまんないでしょ。…って言っても大したところじゃ無いと思うけど」
ひーくんが決めてくれるデート!
初めてだった。
どこ行くんだろ。
ワクワクするのと、なんだかドキドキした。
「彼氏らしいこと。…何もしてあげれてなかったからね」
ひーくんは切なげにそう言った。
「そんなことないよぉっ」