『ごめん。今週も会えないと思う』
そうひーくんからラインが届いたのは、合コンの翌週だった。
週末、名津美ちゃんに買い物付き合ってもらって、クレープ食べて、色々お化粧のこととか聞いて、
日曜日に自分でもやって見て、名津美ちゃんにやってもらったのとおんなじくらいまでお化粧できるように練習して、
その次の日。
「…そだよね、忙しいもんね」
「なに?また会えないの?」
私は、無言でうなづいた。
「文句言ってやんなよ、最後いつ会ったっけ?」
葉月は、若干怒りながらそう言った。
葉月がそう言う態度になるのも仕方がないくらいには、会ってなかった。
「最後は…ゴールデンウィーク、だったかな」
「今、7月だけど。5日だから丁度2ヶ月じゃん。ゴールデンウィークだって、勉強でほとんど会話してないって言ってたじゃん」
「…う、うん」
確かに、ゴールデンウィークも近くの図書館で待ち合わせて、勉強して、図書館でバイバイした。
話といっても、特別何か話したわけじゃなかった。
「勉強忙しい。忙しいって、ただの言い訳にしか聞こえないし。」
「んー、たしかにぃ?もしかしたら、やましい事あって会いたいのかもって私なら疑うけどねー」
葉月と話してたら、名津美ちゃんが間に入ってきた。
「げ。名津美じゃん」
「げ、とは何よ?入ってきちゃ悪かったぁ??」
名津美ちゃんは、ちょっと怒ったような顔をして、葉月を見た。
「別にそーじゃないけど、名津美見たら言いたくなる」
「ちょっと??それどうゆうこと?!」
「そうゆーとこ」
葉月はしれっと名津美ちゃんをあしらう。
「何よ!はるちゃん可愛くする手伝いしたんですけどー。週末も遊び行ったんですけどー」
「…ん?あ、本当だ。はる化粧してんだね」
「はぁ!?今更?!めっちゃ変わってんじゃん!本当そう言うとこ興味無さ過ぎない?!」
ヒートアップしていく名津美ちゃんと、全く表情に変化がない葉月。
なんていうか、見てて面白かった。
真逆、っていうかなんていうか。
「それよか、どうせ文句も何も言ってないんでしょ」
葉月は、名津美ちゃんをしれっとあしらって、話を戻した。
「…いや、だって受験頑張ってほしいし…。なんかわがまま言ったら、うっとうしいかなって」
「なーにそれ!なんも言われないとつけあがるって!男なんてそんなもんじゃん!マジ、言っちゃ悪いかもだけど、ガチ浮気してるって!塾とか嘘かもよ!」
名津美ちゃんがそういうと、葉月が睨みつけた。
「言い過ぎ。まぁ、それもあるかも知んないけど、受験のプレッシャーで勉強し過ぎて、抜け出せないのかもよ」
勉強のし過ぎで抜け出せない?
「んー…ひーくん、そんな人じゃない、と思うの。昔だって、勉強いっぱいしてたけど、ちゃんとできる範囲で。って感じだったし…」
「…それならいいけど。高校入るより、大学入る方が大変か」
葉月は、そう言って納得した。
名津美ちゃんは、何だか少し、怒ってるような感じがした。
「一回、無理してでも会う約束した方が絶対いいと思う。はるちゃんが嫌なら、別にいいと思うけどね」
「…うん、ありがと。名津美ちゃん。
葉月もありがとうね、心配してくれて。多分大丈夫だよ」
「あいよ。」
「はるちゃん寂しいなら放課後付き合ってあげるかんね!どうせ葉月、放課後空きないっしょ?」
葉月の助っ人のことや、弟くんのお迎えのことだったり、のことを名津美ちゃんは知っていたみたいだった。
「名津美ちゃんありがとっ」
いい友達ができて、本当よかったと思った。