それから、たか先輩と話したり、他の合コンに参加してる人とデュエットしたりして、カラオケの時間が終わった。
はじめての合コンは、色々緊張もしたけどとにかく楽しかった。
「たか先輩ー!これありがとうございました!」
カラオケから出て、私はずっと借りてたブレザーを持って、たか先輩を思いっきり大声で呼んだ。
「あ、はるちゃん。…帰る時はスカート。気をつけなよ?」
たか先輩は、ちょっと苦笑いしながらそう言った。
心配症だなぁ、と思ったけど。それがたか先輩なりの優しさだった。
「はぁい!気をつけます!」
「いいお返事。なんかあったらちゃんと言うこと。俺、ケー番変わってないから。あー…ラインわかる?」
「わかりましたっ!ちゃんと登録してあるので、何かあったら連絡しますっ!」
「よろしい。…あ、佐渡には秘密にしてあげるけど、今日のはるちゃん。佐渡にも写真送ってあげたら?」
あ…そういえば確かに。
「佐渡、喜ぶと思うよ。勉強もやる気出るんじゃないかな?俺なら彼女にされたら嬉しいもん笑」
「…ひぇー…恥ずかしいですけど、ちょっと頑張ってみます…!」
ひーくんに自分の写真なんて今まで送った事も、ひーくんから写真を送ってもらった事もなかった。
たか先輩に言われなかったら絶対やらなかったなぁ…
「頑張って!大丈夫。はるちゃんほんと綺麗になってるから!…なんなら、一緒に来てた名津美ちゃん…?だっけ?と一緒に撮って送ってあげな」
「わかりましたっ、名津美ちゃんがいいって言ってくれたらそうします!」
「うん。今日はありがとうね。俺送ってあげれないから、帰り道は気をつけて帰りなさい」
「はぁい!」
たか先輩は、合コンの男子メンバーと一緒に帰っていった。
「はるちゃーん!」
後ろから、名津美ちゃんが呼んでくれた。
「高崎、先輩?だっけ!いい人だね!私まじ狙っちゃいたいくらいかっこいいし、めっちゃ優しいよね!」
そういった名津美ちゃんの目はすっごいキラキラしてた。
「そうなの!!めちゃくちゃいい先輩なんだぁ!ほんとお兄ちゃんみたいで!」
「罪だわ、あのルックスでお兄ちゃん気質とか笑」
名津美ちゃんは、もう獲物を狙うみたいな顔をしてた。
「でも誰とも付き合う予定とかないんだって。歩夢が言ってた」
「え、そうなの?」
「そうなんだってさぁー、なんか昔好きだった子が忘れられないんだって。…結構ショック。ってか勿体ないよね」
昔好きだった子。
紛れもなくそれは真昼の事。
確かにあの時のたか先輩は、狂ったように真昼が好きって感じだった。
そりゃあ…なかなか忘れる事も出来ないのかもしれないけど、
あれから2年経ってるのに…。
真昼もそうだけど、もしかして今でもたか先輩も心に傷、みたいなのあるのかな。