「…まぁ、久しぶりにはるちゃんに会えたし。
佐渡には黙っておくから、今日はカラオケでも楽しんで帰ろうね」
たか先輩は、私の頭にポンポンと手を置いてくれた。
これも久しぶりにやってもらったなぁ。
「はいっ!」
たか先輩、見た目は話しかけるのも躊躇しちゃうくらいかっこよくなってるけど、
1つ1つの仕草だったり、言葉だったりが昔と変わってなくて、
中学に戻ったみたいな気分。
「…それで、ひーくんとは最近会えなくて」
カラオケの合間に、私はたか先輩にお悩み相談、みたいなのをしていた。
「それは寂しいね。全くこんな可愛い子ほって勉強とか、佐渡らしいっちゃ、佐渡らしいけど」
たか先輩は、ため息をつきながらそう言う。
「今日もこんなとこ来ないで、その姿佐渡に見せたかったんでしょ?」
「…そうなんですよね…。あ、でも、ひーくんが喜んでくれるかはわかんないからどうかなぁ…とは思ってるんですけど、やっぱ見せたかったです」
「…だよね。
大丈夫、はるちゃんすごく可愛いから。
…佐渡も喜ぶと思うよ。自信持って」
たか先輩は、本当のお兄ちゃんのように優しく私に笑ってくれた。
「まぁ、ここに俺じゃなくて佐渡がいてたらよかったんだけどね」
「え…いやいや!!
たか先輩に会えるなんて思ってなかったのでホント来れてよかったです!!
それに…部活の同窓会、たか先輩不参加って聞いてたからもう会う機会ないなぁって思ってましたし」
同窓会は、真昼とたか先輩、それからひーくんが不参加で出してた。
真昼には毎週末会ったりしてるし、ひーくんも今は忙しいからあんまり会えてないけど、連絡取ってるし。
たか先輩だけは音信不通みたいになってたもん。
だから、ほんとに嬉しかった。
「…ーーっ!
ほんと昔から変わらず、優しい子だねぇ。…お兄ちゃん嬉しいよ」
たか先輩は、顔がくしゃっとなるくらい思いっきり笑顔になった。
ほんとにお兄ちゃんがいたら、たか先輩みたいな人がいいなぁって、そう思う。
「本当に先輩同窓会来ないんですか?
私以外にもみんなたか先輩に会いたいと思うんですけど…」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどね。
俺居ても居なくても別に変わらないから」
「そんなことないですの!私、今日先輩に会えてめちゃくちゃ嬉しかったですし!!
他の人もきっと思ってます!!」
せっかくの同窓会なのに参加しないなんてもったいないよ。
本当はひーくんにも参加してほしいんだけど…
「…ありがと、とりあえず考えとくね。
もし行ったら、また話そうね」
「もちろんです!!!
全然話し足りないくらいですから!!」
「そんなきっぱり言われたら参加したくなっちゃうなぁ。
…けどまぁ、決まったら連絡するね」
「えへへっ、ありがとうございますっ!」