「じゃ、おきまりの自己紹介ってことで。俺はN高3年の平沢歩夢。なっちゃんとはTwitterで絡んで、合コン企画しましたー!」
N高、3年!?
大人っぽいとは思ってたけど、やっぱり先輩だったんだ。
ひーくんは受験で大変なのに、大丈夫なのかなぁ。
息抜き…?なのかな。
と、一人一人自己紹介をしていって、全員、高校とか、年齢もバラバラだった。
「そういえば、男の子一人足りない???」
名津美ちゃんが全員の自己紹介を終えてそう言った。
「ん?あー、1人遅れててさ。もうすぐくんじゃねぇかなぁ〜」
「あ、そうなんだぁ」
「つか、合コンらしく男女交互にすわんね?」
歩夢くんの隣に座ってた男の人がそういうと、女の子の間に一人一人、男の人が移動してきた。
「はるちゃん、よろしくね〜」
私の隣に来たのは、歩夢くんだった。
「あ、よ…よろしくお願いします…!」
「はるちゃん初々し〜!第一印象通り純粋そう!」
そ、そりゃあまだ高校一年生だし…。
先輩からしたら子どもっぽく見えるんだろうな。
「なんていうか、妹?みたい笑笑」
「そ、そうですかねぇ…」
「あ、でもメイクとか、髪の毛とかそういうのしてるから、ふつうに可愛い女の子。っだよね」
「えっ、あ」
不意に、歩夢くんが私の髪の毛に触れて来た。
名津美ちゃんに巻いてもらってたから、褒められたのは嬉しいんだけど。
きょ、距離が近い…
それにひーくんにもしてもらったことないよ…!
「髪の毛さらっさら。シャンプー何使ってん?」
「え、あ。えっと…」
歩夢くんにとっては多分普通のことなんだろうけど、
距離が!!!
カラオケルームにいるのに、歩夢くんの匂いとかもふんわり香ってくる。
それくらい近い…!
ひーくんですら、こんなに近くに来ないよぉ…!!
「歩夢、相変わらず近くね?女の子困ってるって」
歩夢くんの後ろに、誰かが立ってた。
「んー、仕方ないじゃん、やっぱ髪の毛って気になるしさぁ」
歩夢くんが、後ろの人と話すのに離れてくれて、
やっと緊張の糸がほぐれた。
「やっぱ手入れとか、気になんじゃん?…ってゆうか、お前やっと来たのかよ!遅すぎ」
歩夢くんが話してる間、私はちょっと下を向いてほっと落ち着いてた。
流石に心臓もバックバクで、
恥ずかしさのあまり、顔まで赤くなってるのが自分でもわかった。
カラオケじゃなかったら、絶対馬鹿にされてるくらい顔が赤い。
飲み物でも飲も…
そう思って、テーブルに手を伸ばした瞬間、
「え。はる、ちゃん…?」
聞いたことのある声が聞こえた。