みんなざわざわしてる
どーせ女なんかって思ってるんだろ
だからテキトーに目が合ったやつを呼んで
「ちょっとでいいからさ!星夜の実力知りたいじゃん?」
って殺気を出した笑顔で言う
少ししか出てないのに、ちょっと後ずさりしてる
弱っ!笑
なんて思ってると、様子を見てた未雪が横から
「うちら姫になるなら、君たちの力知りたいでしょ?守ってくれるのかなーって」
さすが未雪。説得力高すぎ
指名した男は、この状況に戸惑ってる
それを見て星河が
「1回やってみろ。」
ってひとこと
「で、でも…」
相手は女だぞ?とでも言いたげな顔で星河を見つめてる
星河は鼻で笑って
「大丈夫だ。本気でやってみろ。…総長命令だって言えばやるか?」
「…分かりました」
しぶしぶって感じで了承。
「ねぇ星河。この子名前何?」
「篠宮陸斗(シノミヤリクト)下っ端の中じゃ、1番強いかもな」
「へぇー、楽しくなりそ」
ふふって笑って陸斗の前に出る
「陸斗。よろしくね。あと、本気できてね?」
「そんなに言うなら本気でいきますからね」
陸斗の顔が真剣になる
「ねぇ!俺もやりたい!」
声のする方を見ると、1人の男が立ってる
「俺、園崎優也(ソノサキユウヤ)」
「ふーん優也ね、いい度胸してんな。じゃぁうちが相手するよ」
と言って未雪が出てくる
いつの間にか戦うにはいいスペースが出来てる
「んじゃ、始めましょ!」
空気がいっきに険悪なムードになる
陸斗と優也は真剣な顔だか、うちと未雪はニコニコしてる
「いつでも来ていいよ?」
うちの声と共に陸斗と優也は一緒に動き出した
あーあ、ウィッグとか付けてると動きにくい…
「いきますよ?」
陸斗がニヤッと余裕そうな笑で言ってきた
余裕があるのも今のうちだな
うちがふっと笑ったのを見てから飛びかかってきた
まぁー速さはそこそこかな
まだまだあまいけどな
飛びかかって来たのをよけ、後ろに回り込む
「なっ!」
さっきの余裕そうな顔は消え真剣な顔つきになっていた
焦りだしたのか、殴りかかってくる
それをひょいっとよける
「そろそろうちもいくよ?」
ニヤッととしてから拳を突き出す
「っ!」
うちの手は陸斗の顔の真横
「わざとはずしてやったんだから、そこは感謝してね?」
陸斗の顔は青ざめていた
その後ろでは未雪が優也の顔ギリギリまで拳を突き出していた
もちろん優也顔も青ざめている
なんでそこまで青ざめているのかその時は分からなかった
「華苗、未雪、ウィッグとれてるぞ」
えっ?ウィッグ?
と思って下を見ると落ちていた
あー、だから青ざめていたのか
まぁーとれたなら言うしかないか
「なかなか良かったじゃん陸斗。うちは華雪初代総長 綺蝶(キチョウ)だ」
「同じく!華雪初代副総長 綺龍(キリュウ)」
ざわざわとし始める
「華雪がなんでここに?」
「だから星河さん達も…」
まぁーそりゃビビるよね
もうちょっと面白くバラしたかったのに…
「綺蝶、いや華苗さん。華雪の総長であろうと星夜の姫になったなら、
俺たちは本気で守ります!」
「そうですよ!華苗さんも、未雪さんも、強いから守られる必要ないって思ってるかもしれないけど、
女の子ですから、姫になった以上お守りします!」
陸斗と優也がそう言ってくれた
それに続いてほかの下っ端達も口々に
「「守ります!」」
って言ってくれた
「みんな…!ありがと…」
うちには第2の居場所が出来た
そんな喜びもつかのまうちに1本の電話があった
誰だ?携帯の画面を見ると非通知
「…もしもし」
「華雪初代総長の綺蝶だな?今星夜の倉庫にいるだろ?今すぐにそこをでろ」
「…茜?」
「……。」
声からして茜だ。なにを企んでるんだ?
「そんなことはどうでもいい。今星夜の倉庫の前にひとりの男が怪我して動けねーんだ
助けてやれ。」
「は?何でそんなこと」
「グチグチうるせー。さもないと星夜の命はねぇぞ?」
「…っ!」
「ふっ、決まりだな」
って言って電話が切れた
幸いみんなと距離をとってたので話の内容はきかれずにすんだ
「華苗?どうした?」
未雪に言おうか…。まぁーいい。うち1人でなんとかするか…
「んー、ちょっと用事あったの忘れてて、すっぽかして来ちゃった笑」
「華苗らしいや笑、行ってきな」
「ん、星河。ごめんね?ちょっと行ってきていい?」
「ああ、気おつけろよ」
嘘ついちゃったな…罪悪感…
なんて考えてると
「お前は裏切らないよな?」
え?声の主は星河だった
その声はうちにしか聞こえてないみたい
「うん?裏切らないよ?」
「そうか…」
どうしたんだろう。
そう思いながら倉庫をあとにした
この時、この1歩が運命を変えるなんて思ってもいなかった
茜に言われたとおりに外に出て、怪我して動けねー男?を探した
すると、草むらから
「た、助けて…」
って声がしたからそっちに行くと、男が縄で縛られていた
「この紐切ってくんねーか?」
最初はイラッとして切りたくなかったけど、よくよく考えれば茜の仕業だ
うち1人でBLACKSなんか余裕で倒せるかもしれないけど、
星夜を危険にさらすのはごめんだ
だからうちはその男の縄を切った
「ふぅー、助かったよ。ありがとう」
男はニヤッと笑った
その瞬間、後ろから口元にハンカチを当てられた
しまった!
やばい、力が抜ける…
ドサッと尻もちをついた
ここは草むらで、座ると自分が隠れるぐらいの高さの草が沢山ある
「そんな目をしないでよ。でも、そーゆー目をされると燃えるんだよね」
次の瞬間には男に押し倒されていた
薬がきいてるせいか、力が入らない
必死にもがくが、意味が無い
「や、やめろ」
声がだんだん小さくなっていく
ふっと笑ったのを見たと思ったら、唇になにか当たってる
っ!
必死に抵抗するも離れない
うちはされるがままだった
やっと口が離れたと思ったら男の携帯がなった
「…はい。……了解しました。」
話し方からして上の人と話してる
電話をきると、どこらから黒い車が近づいてくる
「乗れ」
一言そう言ってまたキスしてくる
「んっ!」
その瞬間何かを飲まされた
そのまま腕を引っ張られて車に乗せられた
あ、やばい。薬のせいか、眠気が襲ってくる
そして、最後に見たのは男の勝ち誇ったような顔と
月が雲に隠れてく瞬間だった
「……ん…」
目を開けると見たことの無い空間
「やっと目を覚ましたか綺蝶。」
「お前は…誰だ?」
「えー、知らない?ショックだわー。BLACKSの総長 波瑠(ハル)」
こいつが噂の波瑠か…
「そんなに睨まないでよ。作戦は順調に進んでるみたいだし。君には働いてもらうから」
なにか企んでるな
そのまま無言でい続ける
すると波瑠の携帯がなった
「あー、茜?…了解。すぐ戻ってこい」
茜?
「そろそろ楽しみにしてた瞬間がやってくるようだね」
「……おい。うちを誰だか分かってやってるんだよな?」
今うちは手錠みたいなのがかけられてる
でもこんなもん余裕で壊せる
「ふーん。そんなこと言っちゃっていいの?」
後ろにいた副総長らしき人に目で指示をした
そしたら
「痛い!やめて…」
どこからか声が聞こえる。誰だ?聞き覚えのある気がする…
「えっ…?」
そこに現れたのは、いとこの蘭(ラン)だった
「蘭…?どうして?」
「かな姉…なの?」
かな姉って呼ぶのは蘭しかいない
そう言えば、蘭ってBLACKSの副総長と付き合ってた気が…
「お前らいとこだろ?だから綺蝶、お前にいい条件を付けてやろう。」
「条件…?」
「こいつを解放してやる」
「解放って…蘭はあんたらの副総長と…」
「は?何の話だ?こいつはもう用無しだ」
今まで黙ってた副総長が声を出した
「おいおい笑、響也(キョウヤ)言いすぎじゃね?まぁー本当の事だけど」
「ああ、俺には今茜がいるからな」
茜…?響也が茜と?
蘭は今にも泣きそうな顔で涙をこらえている
好きで信じてた相手に裏切られ用無しって言われて彼女がいるって
どれだけ辛いことなんだろう
「…解放の条件は?」
「お前がBLACKSの姫になれ。まぁーただの道具だけどな」
「は?何言ってんの?そんなこと…」
「あ?口答えする気か?ふーん、だったらこいつの命は」
って言ってナイフを蘭の首に近づける
忘れてた。こいつらは平気でそうゆうことするやつだった
今までそれに蘭は耐えてきたのか…
「どうする?今逃げ出すか?そうしたら蘭の命はないな。」
「逃げ出すわけねぇだろ?うちならお前らなんて1人でいけるわ」
「へー、そんなことしたら蘭を真っ先に殺しに行くけどな」
それでもそんなことができるのか?って言いたげな顔してくる
「かな姉…!私は大丈夫だから!」
「蘭…。」
またうちのせいで大切な人を失っていくのか?
もう二度と失いたくない…
「その条件…のった」
「かな姉!!」
「ふっ。じゃぁこれからよろしくな」
ニヤッと気持ち悪い笑で笑いかけられて鳥肌がたつ
「あ、1つ言っとくけど。蘭が星夜とか華雪にこと事言ったらこいつの命はねぇから」
「…!」
蘭は泣きそうだ
「蘭…。大丈夫だから。気にしないで、これからは普通の生活を送ってね」
「いつまでもグダグダしてんな」
って言って響也が蘭の腕を引っ張って外に出ていった
2人だけになると、波瑠がこっちに近づいてきてベットに押し倒される
「まぁー分かってるだろうけど抵抗したら…ね?」
もう覚悟を決めた。一生こいつの道具として生きていく
まぁーそんな長い命じゃないけど
そのまま服を脱がされ、波瑠の唇がうちの首筋から胸へとつたっていく
でもなにも感じない
もう感情を捨てた。感情なんてあっても意味が無い
でも心のどっかで星河が助けに来てくれるのかなって期待してる自分がいる
きっと助けに来てくれる
そう考えながら波瑠に抱かれたのだった
ーーーーコンコン
「なんだ?」
「今帰った」
声からして茜だ
「すぐ行く」
足音が遠ざかると
「なかなかだったよ。これからはずっと俺の道具だな」
無表情、無言を突き通す
波瑠はニヤッとして
胸元にキスマをつけてきた
自分の体を見ると数えるのが大変なぐらいキスマがついていた
ついに自分の体が汚れた
初めてだったわけじゃないけどこんな経験はない
遊びとかじゃなくて、今は道具だから
服を着て、総長室をでる
隣の幹部室まで行くと、茜と響也がまっていた