「辛いならいえよ。俺がそばにいてやるから。1人で苦しんで1人で泣くな。
乃々花が何を抱えてるのか知りたい。一緒に抱えていこ?」
「地龍…」
その後、地龍に話すことにした
あの日の出来事…
それにその後の地獄の日々を…
ーーーーーーーー
重たい目をあける
体を起こそうとすると体に激痛が走る
腕から足まで全身あざだらけ…
今日も地獄の1日が始まろうとしている
うちは3人姉妹の末っ子
親は離婚していて、母親と一緒に住んでいる
母親は父親から、ひどい扱いを受けてた
離婚してからはその恨みからか、うちら姉妹に暴力を振るうようになった
母はだんだん夜に男を連れ込むようになり、本当に家にいたくなかった
日中は暴力を受け、夜は家に居づらい毎日
それでも唯一の救いは姉の亜香莉(アカリ)と亜璃沙(アリサ)だった
ベットからおりると机の上に何か紙切れがおいてある
『乃々花へ
もう限界が来ました。うちらは逃げます
うちらはもう1人でも暮らしてける年になったから…
乃々花もそれまで頑張って、さよなら
亜香莉、亜璃沙より』
え?逃げます…?
あか姉とあり姉は優しくて、信頼してたはずだった…
裏切られた?うちをいけにえにしたってこと?
どうして……?
うちはその場に泣き崩れた
「うっ…なんでぇ?なんでよ!?1人にしないで…」
叫びたいことはいっぱいある
なんで話してくれなかったの?
幸い今日は母親がいなかった
布団にもぐりこんで泣いた。どれぐらいたったのだろうか
スマホをみると着信が何件もきていた
亜依からだ
『どうしたの?なんかあった?連絡ちょうだい?』
亜依…ごめんね。
ーーーーガチャ
…っ!親が帰ってきた
階段をのぼる音
こっちにくる!
それからはあんまり覚えていない
たしか、部屋に来て
「あんた今日学校無断欠席したらしいじゃない…ふざけてんの!?
できるだけ家にいないでちょうだい!!!」
って怒鳴られて押されて後ろに倒れた気がする
あーあ、アザが増えちゃう
もうどーでもいいや
あいつが部屋から出てくと自然と涙がこぼれた
1粒だけ…
それいこうはなにも感じなかった
ーーーープルルル
亜依からだ…
ピッ
「もしもし…」
「もしもし!?乃々花?!なんで連絡くれないの?!」
「ごめんね…」
「…急に大声出してごめん。またなんかあった?」
亜依はうちの事情を知ってる
「……ううん。大丈夫だ、よ?」
「大丈夫じゃないでしょ。声で分かる。いつから乃々花の親友やってると思ってんのよ」
「ふふ、そうだね」
「今、乃々花の家の近くだからちょっと外来れる?」
「あー、分かった」
電話をきって、ベランダにでる
玄関から出るとあいつに会わないといけなくなる
ベランダからいろんな所に飛び移って地面に着地!
アニメかよっ!ってつっこみたくなるけど、運動神経はいい方なんだよね
「乃々花!こっち!」
亜依と一緒に歩く
こんな夜にどこに行くかって?
最近、夜の繁華街で喧嘩してんだよね
まぁー現実逃避なんだけどさ
この日から、週に2、3回だったのが、毎日行くようになった
もちろん亜依も
そんなある日いつものように夜、出かけてた
亜依と公園の横を通りかかった時
「ねねー、君たち可愛いねー。こんな夜に女の子2人で危ないよぉー?」
「ちょっとお兄さんたちと遊ぼーぜー」
急に腕を引っ張られた
チッ、めんどくせぇやつら
腕を振り払う
「やめろよ、うぜー」
低い声で言い放つ
「…っ!なんだてめーは!あー、もう冷めた。殺れ」
リーダーらしき人の合図で数人がかかってくる
ドスッ
1発命中
1人1人は弱いな
けど人数多いな、ちょっとやばいかも
「ちょっと人数おおくね?(ボソ」
亜依がつぶやいた
「そうだな、ちょっとやばいかも」
前からかかってきたやつをかわした、すると
「後ろががらあき〜」
しまった!気づいた時にはもう遅い
「乃々花!」
覚悟を決め、ギュッと目をつぶる
………?痛くない?
そっと目を開ける
…!そこには黒の特攻服を着た女の人が立っている
背中には金色の刺繍で
『華雪初代総長 綺蝶』
と書かれている
華雪…
日本No.1の族だ
知らない人はいないだろう
そんなすごい人がいま目の前に…
「…消えろ」
低く言い放った綺蝶の声に全員がビビり逃げていった
す、すごい…
かっこいい…!
私にとっての光が現れた時だった
くるっと後ろを振り返った綺蝶は
「大丈夫?怪我はないか?」
と、さっきの声とは考えられない優しい声だった
「大丈夫です。あ、あのありがとうございます」
「ああ…。私は華雪初代総長 鈴野華苗だ。あんた名前は?」
「…藤田乃々花です」
「後ろの子は?」
「み、宮本亜依です…」
亜依もビックリして、驚きを隠せないのか噛んでいる
「…乃々花と亜依か…。2人とも華雪に入らないか?」
「えっ?」
予想外の展開に間抜けな声が出た
「お前ら、ずっと無意味な喧嘩してただろ?」
「な、なんでそれを?」
無意味…まぁーそうだ
別に意味もない喧嘩をずっとしてた
「なんでって?んー、昔のうちの目に似てたから?かな」
「…目…?」
「そう、目。まぁー詳しいことはいいから、2人とも帰るあてはあるのかな?」
「亜依はあるけどうちは…」
出来れば帰りたくない…
「なら、来るといい。今から乃々花と亜依は華雪のメンバーだ」
ーーーーーーーー
「それで華雪にはいったの。いつの間にか今は幹部までのぼりつめてた。華苗は光だった。
黒く染まってたうちを闇から出してくれたの…」
「…そうか…。辛かったな…。」
うちの目に浮かんでる涙を拭き取ってくれた
「乃々花…。今日から俺の隣に来ないか?」
「えっ?」
「…っ!だから!俺と付き合わないかってことだよ!」
「えっー!」
うそ…まじか!
「俺は乃々花を守りたい。 華苗が光なら、俺はお前に幸せを渡せる。乃々花が悲しくて、辛かった分、俺が幸せにしてやる!乃々花の特別になりてーんだよ」
嬉しすぎる。こんなに思ってくれてたなんて…!
「地龍…。嬉しい…!地龍が名前を呼び捨てでいいって言ってくれた時、嬉しかった
特別なのかなって、1人で考えてた…」
「…っ!お前…可愛すぎ////。俺の中で特別なのは乃々花だけだから。
改めて…俺と付き合ってくれ」
「っ!…はいっ…!」
「…っ!…」
ギュッ
地龍の腕の中にすっぽりハマってる
落ち着くなー
今日私たちは仲いい友達から、
特別な存在。愛する人へとかわったのだった
ーーーーーーーー
この無言で見つめあってる状況マジで気まずい!!
きまずすぎて先に言葉を発したのはうちだった
「み、未雪たち待っててくれてるから戻らなきゃ!」
「…そうだな、戻るか」
ちょっとシュンとした星河はめっちゃ可愛かった
「かわいいい…(ボソッ」
ボソッとつぶやいたのがきこえたらしく
「お前なー、男に可愛いはNGワードだぞ?」
「え、だってホントのことだもん!しょうがない…」
しょうがないじゃんって言いかけたとき急に口がふさがれた
「っん…」
動揺で驚きが隠せない
一瞬冷静になって状況を理解した
うち、星河に…キス…されてる?!
やっと口が離れたと思ったら
「次言ったらこんなんじゃ済まないからな」
ニヤッとして、耳元で
「覚悟しとけよ?俺の未来のお姫様」
「なっ!…」
今絶対顔赤いよー。
星河がうちの前だけで見せる顔
意地悪なのか、可愛いのか分からない
けど、そんな星河に心をうたれつつあった
2人で、歩いて教室まで戻ろうと廊下まできたらやけに静かだ
不思議に思って教室に入ろうとした瞬間
ーーーーガタッ!
物音がして、反射的に隠れる
恐る恐る教室内をのぞくと床には重なる黒い影
目線を影のる主に向けると…
未雪と蓮夜だった
「えっ?…」
「まじかよ…」
星河と言葉を発したのはほぼ同時
2人はまだうちらに気づいてない
離れたと思ったら見つめあって微笑んでいた
「未雪…」
「えっ…」
ちょっと声が大きかったのかやっと気づいたようで焦ってる
でもうちの隣に星河がいたからか安心したように
スっと笑顔になる
「うちね、蓮夜と付き合うことになったの」
「え?本当?」
「うん、ほんと。ね、蓮夜」
「おう!」
2人は手を取り合いいかにもカップルだった
「でも未雪…。忘れたの?うちらは…」
うちの表情が強ばっていたからか、星河と付き合ってないことに気づいた未雪は顔を歪めて
「分かってる!でも、かけてみようよ。こいつらに」
「未雪…」
「いつまでも立ち止まってるより前に進んだ方が楽しいよ?」
分かってる。けど、星河と一緒にいたいとおもっても
うちらは死ぬかもしれない。それが怖い。生きたいって思ってるのに
死ぬのが怖い…