【乃々花side】
今日は朝早く起きれた
なんでだろう?
まぁーいいや。そのまま着替えてバイクにまたがり学校に直行
学校について教室に入ると
「おー、乃々花!おはよー」
「亜依、おはよー!はやいね」
「なんか今日はやく起きちゃってねー、乃々花もはやくね?」
「うちもはやく起きちゃって…うちらすごくね?」
「ほんとよ。以心伝心的な?」
ほんと亜依とは気が合う
チラッと窓から門をみると、バイクが数台入ってくる
あ、地龍だ
って、何考えてんだろ
地龍は1つ上の先輩。星夜の幹部。
入学式で体育館行くの迷ってたら、教えてくれたの
それが出会い。些細なことだけどそれで仲良くなって、今じゃ1番仲いい男友達…だと思ってる
なんで呼び捨てかって?それはね、最初は地龍さんって呼んでたけど、さん付け禁止って、言われて呼び捨てになったの
なんか特別みたいで嬉しいかも
放課後
2年の教室までダッシュ!
「華苗ー、未雪ー、倉庫行こー!」
ドアを開けると視線が…まぁーいっか!
あれ?教室に華苗の姿だけが見当たらない
星河さんもいない
「あー、乃々花。華苗なんか星河とどっか行ったから待っててー」
未雪が蓮夜さんと話してるのをやめ、うちの方に歩いてくる
「あー、りょーかい!じゃぁ亜依と教室で待ってるわー」
華苗どうしたのかな?って思いながらクルッと向きを変え廊下を歩きだした
教室に行くと亜依が出てきた
「亜依?どこ行くの?」
「今日日直でさー、担任に呼ばれてんのよ。職員室とかまじダリー」
ダリーとか言いながらも行く亜依は偉いと思う
「あー、おけ!じゃぁ教室で待ってるわー」
「先に華苗たちと倉庫行ってていいよ?」
「なんか華苗、星河さんとどっか行ったらしいから待ってるだよ」
「そーなん?なんかあったのかな?」
「分からんけど大丈夫でしょ!」
「そーだね!じゃぁ行ってきまする!」
「いってらー!」
亜依との長い話を終え教室に入り自分の席に座る
広い空間に1人でポツンと座っていると窓の外から楽しそうな下校途中の生徒の声
頭にあの時の記憶が蘇る…
考えただけでも吐き気がする
はぁ、はぁ
呼吸が荒くなる
大丈夫、落ち着け、
そう思うのに、あの日の記憶が消えない、どんどん鮮明に脳に浮かんでくる
助けて、助けて…
「乃々花ー、暇だと思って来てやった…乃々花?!」
「…じ、地龍…」
顔をあげると心配そうな地龍がいた
「どうした?!大丈夫か!?」
そうとう焦ってる
地龍を見たら安心して涙が出てきた
その直後
ーーーーギュッ
気づけば地龍の腕の中
「えっ?」
「辛いならいえよ。俺がそばにいてやるから。1人で苦しんで1人で泣くな。
乃々花が何を抱えてるのか知りたい。一緒に抱えていこ?」
「地龍…」
その後、地龍に話すことにした
あの日の出来事…
それにその後の地獄の日々を…
ーーーーーーーー
重たい目をあける
体を起こそうとすると体に激痛が走る
腕から足まで全身あざだらけ…
今日も地獄の1日が始まろうとしている
うちは3人姉妹の末っ子
親は離婚していて、母親と一緒に住んでいる
母親は父親から、ひどい扱いを受けてた
離婚してからはその恨みからか、うちら姉妹に暴力を振るうようになった
母はだんだん夜に男を連れ込むようになり、本当に家にいたくなかった
日中は暴力を受け、夜は家に居づらい毎日
それでも唯一の救いは姉の亜香莉(アカリ)と亜璃沙(アリサ)だった
ベットからおりると机の上に何か紙切れがおいてある
『乃々花へ
もう限界が来ました。うちらは逃げます
うちらはもう1人でも暮らしてける年になったから…
乃々花もそれまで頑張って、さよなら
亜香莉、亜璃沙より』
え?逃げます…?
あか姉とあり姉は優しくて、信頼してたはずだった…
裏切られた?うちをいけにえにしたってこと?
どうして……?
うちはその場に泣き崩れた
「うっ…なんでぇ?なんでよ!?1人にしないで…」
叫びたいことはいっぱいある
なんで話してくれなかったの?
幸い今日は母親がいなかった
布団にもぐりこんで泣いた。どれぐらいたったのだろうか
スマホをみると着信が何件もきていた
亜依からだ
『どうしたの?なんかあった?連絡ちょうだい?』
亜依…ごめんね。
ーーーーガチャ
…っ!親が帰ってきた
階段をのぼる音
こっちにくる!
それからはあんまり覚えていない
たしか、部屋に来て
「あんた今日学校無断欠席したらしいじゃない…ふざけてんの!?
できるだけ家にいないでちょうだい!!!」
って怒鳴られて押されて後ろに倒れた気がする
あーあ、アザが増えちゃう
もうどーでもいいや
あいつが部屋から出てくと自然と涙がこぼれた
1粒だけ…
それいこうはなにも感じなかった
ーーーープルルル
亜依からだ…
ピッ
「もしもし…」
「もしもし!?乃々花?!なんで連絡くれないの?!」
「ごめんね…」
「…急に大声出してごめん。またなんかあった?」
亜依はうちの事情を知ってる
「……ううん。大丈夫だ、よ?」
「大丈夫じゃないでしょ。声で分かる。いつから乃々花の親友やってると思ってんのよ」
「ふふ、そうだね」
「今、乃々花の家の近くだからちょっと外来れる?」
「あー、分かった」
電話をきって、ベランダにでる
玄関から出るとあいつに会わないといけなくなる
ベランダからいろんな所に飛び移って地面に着地!
アニメかよっ!ってつっこみたくなるけど、運動神経はいい方なんだよね
「乃々花!こっち!」
亜依と一緒に歩く
こんな夜にどこに行くかって?
最近、夜の繁華街で喧嘩してんだよね
まぁー現実逃避なんだけどさ
この日から、週に2、3回だったのが、毎日行くようになった
もちろん亜依も
そんなある日いつものように夜、出かけてた
亜依と公園の横を通りかかった時
「ねねー、君たち可愛いねー。こんな夜に女の子2人で危ないよぉー?」
「ちょっとお兄さんたちと遊ぼーぜー」
急に腕を引っ張られた
チッ、めんどくせぇやつら
腕を振り払う
「やめろよ、うぜー」
低い声で言い放つ
「…っ!なんだてめーは!あー、もう冷めた。殺れ」
リーダーらしき人の合図で数人がかかってくる
ドスッ
1発命中
1人1人は弱いな
けど人数多いな、ちょっとやばいかも
「ちょっと人数おおくね?(ボソ」
亜依がつぶやいた
「そうだな、ちょっとやばいかも」
前からかかってきたやつをかわした、すると
「後ろががらあき〜」
しまった!気づいた時にはもう遅い
「乃々花!」
覚悟を決め、ギュッと目をつぶる
………?痛くない?
そっと目を開ける
…!そこには黒の特攻服を着た女の人が立っている
背中には金色の刺繍で
『華雪初代総長 綺蝶』
と書かれている
華雪…
日本No.1の族だ
知らない人はいないだろう
そんなすごい人がいま目の前に…
「…消えろ」
低く言い放った綺蝶の声に全員がビビり逃げていった
す、すごい…
かっこいい…!
私にとっての光が現れた時だった
くるっと後ろを振り返った綺蝶は
「大丈夫?怪我はないか?」
と、さっきの声とは考えられない優しい声だった
「大丈夫です。あ、あのありがとうございます」
「ああ…。私は華雪初代総長 鈴野華苗だ。あんた名前は?」
「…藤田乃々花です」
「後ろの子は?」
「み、宮本亜依です…」
亜依もビックリして、驚きを隠せないのか噛んでいる
「…乃々花と亜依か…。2人とも華雪に入らないか?」
「えっ?」
予想外の展開に間抜けな声が出た
「お前ら、ずっと無意味な喧嘩してただろ?」
「な、なんでそれを?」
無意味…まぁーそうだ
別に意味もない喧嘩をずっとしてた
「なんでって?んー、昔のうちの目に似てたから?かな」
「…目…?」
「そう、目。まぁー詳しいことはいいから、2人とも帰るあてはあるのかな?」
「亜依はあるけどうちは…」
出来れば帰りたくない…
「なら、来るといい。今から乃々花と亜依は華雪のメンバーだ」
ーーーーーーーー
「それで華雪にはいったの。いつの間にか今は幹部までのぼりつめてた。華苗は光だった。
黒く染まってたうちを闇から出してくれたの…」
「…そうか…。辛かったな…。」
うちの目に浮かんでる涙を拭き取ってくれた
「乃々花…。今日から俺の隣に来ないか?」
「えっ?」
「…っ!だから!俺と付き合わないかってことだよ!」
「えっー!」
うそ…まじか!
「俺は乃々花を守りたい。 華苗が光なら、俺はお前に幸せを渡せる。乃々花が悲しくて、辛かった分、俺が幸せにしてやる!乃々花の特別になりてーんだよ」
嬉しすぎる。こんなに思ってくれてたなんて…!
「地龍…。嬉しい…!地龍が名前を呼び捨てでいいって言ってくれた時、嬉しかった
特別なのかなって、1人で考えてた…」
「…っ!お前…可愛すぎ////。俺の中で特別なのは乃々花だけだから。
改めて…俺と付き合ってくれ」
「っ!…はいっ…!」
「…っ!…」
ギュッ
地龍の腕の中にすっぽりハマってる
落ち着くなー
今日私たちは仲いい友達から、
特別な存在。愛する人へとかわったのだった