それからというもの、私たちはだんだん夜の繁華街へ出かけるようになった


居場所がない自分たちにとって、生きる理由もなくさまよっていた
夜は毎日喧嘩ざんまい。無意味な喧嘩ばっかだ



自分で言うのもなんだけど喧嘩は強い

だって1回も怪我をしていない



夜にこっそり病院を出て朝方の看護師が来る前に帰る


そんな日が何日続いただろうか

その日も朝方こっそり帰って病室に戻るつもりだった

静かに廊下を歩く

「今日も楽しかったね(コソ」

「そうだねー笑(ヒソ」

ヒソヒソと話しながら歩いていたから気づくのがおくれた

「…華苗、未雪、何してるんだ?」

そんな声にハッとしてゆっくり前を見るとそこには優さんと真美さんがいた

「…っ!」

ヤバいバレた!そう叫びたいがここは病院。患者の迷惑になる

そっと声をおさえ、静かに優さんを見つめる

チラッと未雪の方を見ると焦っている

それもそのはず、げんに自分も焦ってる

「…はぁー、2人が出掛けてたことぐらい知っていたよ」

「え?」

優さんの意外な言葉に驚きが隠せない

なんでバレた?どこで?

そんな疑問が頭に浮かぶ

「お前ら、俺をなめてるだろ?…まぁーいい。

お前らは何のために喧嘩をしているんだ?……無意味な喧嘩はやめろ」

何のためって、そんなの自分でもききたいぐらいだ

理由なんてない……全てに関して…

「喧嘩がしたいなら俺はいいと思うぞ?

…けどな、無意味な喧嘩は嫌いだ。喧嘩をするなら守りたいものを守るための喧嘩をしろ。
ないなら、お前らが作ればいい。」

うちらが作る?そんなことして何になる?
どうせ死ぬんだし…

「…そんなことしたって、意味ないじゃん」

ボソッとつぶやいた
その言葉を聞き取ったのか優さんが

「守りたいものを作るってことは、生きる理由になる。どんな時でも守りたいものをな。」

そう言って優さんは真美さんを見る

2人は微笑んで、私たちの方に顔を向ける

「あなた達は女の子なのよ?
守るのもいいと思うけど、守られるべきよ。いつか守ってくれる人を見つけるといいわ。

運命の人を見つけてしまったらあなた達なもう2度と生きる理由がないなんて言わなくなる」

真美さんは優さんを見つめる

ああ、2人はそうゆう関係なんだと分かる

「俺たちは来月結婚するんだ。お前らにもきっといい未来が待っているはずだ。」

「…でも…」

未雪がポツリとつぶやいた

そうよ、未来なんて私たちにはないのに

どうやってその未来がみえるわけ?!
いい未来?何それ?そんなのあるわけないじゃない?!

怒りと悲しみの声を胸に押し殺し優さんと真美さんを見つめる

そんな気持ちを込め、目で訴える

「……華苗、未雪、未来がないなんて誰が決めた?

未来を作るのは自分自身だ、お前ら次第ってことだよ」
「……っ…」

気づきたくなかった

いや、気づいてないふりをしていたのかもしれない

未来は自分自身で作るもの

そんなこと分かってる

でも、認めてしまうと死ぬのが怖くなる

未来を望んでしまう………




優さんは、お前らならできると言ってその場をあとにした

そこに残されたうちと未雪はその後色々話し合い………




『華雪』を作ることにした

それからは、同じように無意味な喧嘩をしている子たちを連れてきて
華雪で育てた

気づけば1年もしないうちに大きな族となり、今じゃ日本No.1だ


今はみんなの存在が大切になっている

でも、生きる理由にはならない

どうせ、死ぬ前に引退するだろうし


そしたらみんな忘れるだろうから…


でも
こんな幸せが少しでも長く続きますように………





「…え、…か…え、………華苗?」

未雪の声にハッとする

寝てたのか?いつの間に…

「もー、しっかりしてよ?疲れてるなら今日の暴走やめとく?」

乃々花が心配そうに言ってくれる

「大丈夫ー!ごめんね?心配しないで?さぁ!元気に行こー!」

うちがそう言うと、みんなは

「「「「「「おおおおーーー!!!」」」」」

と叫び自分のバイクにまたがった

乃々花、亜依、結香、花音はもう特攻服を着ている

準備がはえーな

いい事だ!

内心偉そうなことを言っておく

未雪も特攻服をはおりバイクにまたがる

「華苗ー!はやくー!支度おそーい!!」

「ごめん!今行く!」

そう言って、特攻服を手に取りはおる

「さぁ!行くぞ!」

「おおおおーーー!!!」
「よっしゃー!」
「いってやるかー!」

それぞれが叫びバイクが走り出す

ーーーーブーンブンブン!!!

そんな爆音と共に夜の闇に消えていった
しばらく走っているとどこからか喧嘩の声がきこえてきた

「総長!星夜と誰かが喧嘩を始めました!」

星夜と誰か?誰だ…?もしかして!

「未雪、急ぐよ!乃々花、亜依、結香、花音はみんなをまとめておいて!」

「分かった!」

すぐそこの路地裏に入るとそこには星夜の総長、副総長がある1人の男ともめていた

「お前ら、俺達が作り上げた鬼龍をなんだと思ってるんだ?!言ってみろよ!」

殴りかかってるけど1発も当たってない
腕が下がったな、弱すぎかよ

「俺たちは、先代の方たちがやってきた事は間違ってるとずっと思ってました。だから自分がトップにたったとき変えてやろうって思ったんですよ」

星夜の総長…いや、星河はいたって冷静だ

それにムカついたのか相手はあるものを取り出した

「…っ!」

銃だ。

「俺をなめたらどーなるか思い知らせてやるよ!」

ーーーーバーンッ

そんな銃声とともにうたれた弾は星河の左足にかすった

「っ…!」

足からは結構血がたれている

「…お前っ!」

連夜が立ち向かうも

ーーーーバーンッ

今度は蓮夜が右肩うたれた、

なんだ2人とも弱いな…

そんなこと今はどーでもいい
厄介なやつだな

タイミング見て出てやるか

「どっちが先に死にたい?」

そう言って再び銃をかまえた

今だ!

うちは走ってあいつの銃を抜き取った

「…え?」

あいつの間抜けな声に重ねるように

「卑怯なまねしてくれるじゃない…元鬼龍の3代目総長さん」

「お前は…!華雪初代総長…綺蝶っ!」

うちの通り名は綺蝶(キチョウ)綺麗に舞う蝶みたいだからだとか…

今はそれより、

「銃なんて武器にたよって…お前にプライドはないのか?!」

「うるせぇよ!お前もまとめて死ね!」

あいつはもう1つ銃を持っていたらしく、銃をかまえた

私は後ろに周り相手のすきをつき弾をかわし銃をはじき飛ばした

それぐらい簡単なことだけど
「…っ!チッ!」

舌打ちをしながら殴りかかってくるも

スッっとよけ、1発腹に食らわしてやった

「…うっ!」

そう言って倒れ意識を失った

1発で倒れるとか、弱すぎかよ


「未雪、こいつの後始末よろしく」

そ言ってうちは星夜の前にたった
【星河side】

なんなんだよ、こいつ

俺の喧嘩につっこんできやがって

そう思うはんめんこいつがいなかったら死んでたと思う自分もいる

華雪初代総長の綺蝶か…

実を言うと俺の憧れでもあったりして

「おい、お前大丈夫か?」

そう言ってあいつ、いや華苗が手を差し伸べる

「…ああ、……いっ…て…!」

足に力が入らず立ち上がられない

情ねぇ、華苗が華雪初代総長だからって、しょせん女だ

女に助けられ、あげくのはてには怪我もした

「…噂のわりには…弱いな…。」

「なっ…!」

弱いって改めて言われるとグサッとくるな

「星河?だっけ…?お前、立てねーの?」

「………」

気まずすぎて顔を下におろす

「はぁー、めんどくせーやつ」

と言いながら華苗は何かをとりだした

「ちょっとしみるぞー。まあ、男ならこれぐらい我慢しろ」

「……っ!!」

消毒液だ!いてー、しみるー!

気づけば手当は終わっていた

チラッと横を見ると蓮夜も未雪?ってやつに手当を受けてた

そーゆうところは女なんだなーって思った

「まー、あとは仲間に助けを呼ぶなりなんなりしろ」

じゃぁなと言いながらバイクにまたがる

「あ、ちょっとまて!」

気づけばとめていた

なんでだろうな、お前が気になってしょうがない

「あ?」

超絶不機嫌そうな華苗、それでも待ってくれてる

「あ、あのさ、明日学校くるだろ?お前、気に入った。もっと話がしてー」

うわー、恥ずかしっっ!

「……ふっ。なんだそんなことか、多分いくぞ?弱いくせに話がしてー?生意気だな」

って言いながらも微笑んでいる。

な、なんだこの気持ち。胸が苦しくなるような…

華苗たちがいなくなったあと、俺はテンションが高かった

「…星河…お前、きもいぞ?」

とか言ってる蓮夜も十分きもいぐらいニヤけてる



この日俺らは初めて゛恋゛というものを知ったのだった
ーーーーピピピピッ

「…んー」
重いまぶたをあげ、周りを見渡す

あー、そうか、もう病院じゃないんだっけな

今、未雪と2人で住んでいる

あー、学校だ…今何時だ?

…9時半か…

あー、めんどくせぇ

休もっかな…

でもなぜかあいつの言葉が脳内をよこぎる

「……まぁー行くか」

着替えてリビングに行くと未雪が朝食をとっていた

「あー、おはよぉー、華苗の分も作ったよ?食べなよー」

「おー、ありがとな、」

そのまま朝食をすまし家を出たのは10時

未雪とバイクにまたがる

「…めんどくない?お昼から学校いこーよー」

「うん、めんどい。そーしよ」

その後はテキトーにふらふらして、気づけば12時


「そろそろ行くか」
「だね」

そのままバイクを走らせ学校についた

教室のドアを開けると視線がいっきに注がれる

その視線を無視し、自分の席につくと

「おはよぉ!今日遅いね?どーしたの?」

銀河が近寄ってくる

「…ダルかっただけ」

テキトーに答え視線を星河にむける

すると星河が微笑んで

「おはよ」

とつぶやいた

…っ!なんだよこの気持ち…今絶対顔赤い。
胸がギュッで締め付けられる感じ…

いや、ありえねぇ、うちは誰も好きにならない

そう決めたから……
ーーーー放課後

「華苗、ちょっといいか?」

星河が話しかけて来た

「…ああ」

なんだ?めんどくせぇな。と思ったけどそのまま星河について行った

屋上まで来るとドアの鍵がしまってる

「…チッ、閉まってるのかよ」

「壊せばよくね?」

こんなドア一瞬で壊せるくね?

「このドアめっちゃがんじょうなんだよ、男の俺でも無理」

「ふーん」

と言いながらも

ーーーーバーンッ

1発の軽めの蹴りで余裕で壊した

「…!まじかよ…」

「え、これでがんじょう?こんなんも壊せないの?弱いな」

「うっせーよ、お前がつえーんだよ」

うぅ…なんかこいつといると調子狂う

なんなんだ?まだこいつに会って数日だぞ?

なんて1人で考えてると

「…華苗。」

真剣な顔で星河がこっちを見ている

「ん?」

その直後

ーーーードンッ

それはいわゆる壁ドン状態

「…っ!」

顔近いし!

あ、まじかで見ると、めっちゃイケメン…そんなことどーでもいい!

この状況を何とかしないと!

「え?何?」

今はそう喋るのが精一杯

「会って数日で言うのもなんだけどさ、俺、お前といると落ち着くんだよな

すげーお前を追いかけたくなって、気づけばずっと見てた

あの日お前が俺らの前に現れた時、あー、お前だって思った。


俺の方が弱いかもしれねー、けどよ、初めて守りてーって思ったんだよ」


喋りたいけど喋れない

喋ったら認めてしまいそうだから



星河が好きだって

まだ星河のこと何もしらない

けど、なぜか隣にいたいと思ってしまう


それっておかしいことなのか?

人を好きになる時って何かあるんじゃないのか?

優しくされたとか、助けてくれたとか、長い月日がたってだんだん好きになるとか…

けどうちはどれも当てはまらない…なのにどうして?


「俺の隣で笑っててくれねーか?そんで、俺の女になってくれ」

今にもくっつきそうな顔の近さにたえきれず、顔をそらす

「…気持ちは嬉しい。うちも同じこと思ってた。
けど、それが恋愛感情なのかは分からない

それに、うちを好きになって後悔するのは、お前だ」

「…後悔?そんなんしねーよ」


「うちの何を知ってる?なんも知らないじゃん。それなのに言いきれるの?」

「これから知ればいい。お前が話したくなったらでいい。それまで、いくらでも待つ。

それぐらい好きなんだよ。返事はOKしかきかない。だからそれまで何回でも告白する。

それでも、嫌だって言うなら、お前を気づつけたくないから黙って引くよ」

引くって言葉をきいて心のどこかがチクリといたんだ

「……いつその返事を返せるか分からない。もしかしたら一生返せなくなるかもしれない」

「…?」

星河のそでをギュッと掴んで、

「でも、離れてかないで?」

それが、今うちの言える最大限

「…っ!お前…誘ってんのかよ…。可愛いすぎかよ(ボソッ」

「誘ってねーし」


いつか話せる時が来るまで待っててね