偶然の再会から1週間後、みちかはひばりと約束したイタリアンレストランに向かった。

駅近くのデパートのレストランフロアに時間よりも早く着いたみちかは、先に店に入り窓際の席でひばりを待った。
彼女と2人でこうして会うのは本当に久しぶりだった。
なんだかドキドキして落ち着かない。
聞きたいことはたくさんあるけれど、ひばりの顔を見たら舞い上がってしまうような気もした。

そんなソワソワしたみちかの前に、ほんの少しだけ遅れ「ごめんごめん。待たせちゃったよね。」と、華やかな笑顔をたたえてひばりは到着した。

髪を後ろでフワッと結び、柔らかな素材のエレガントな黒のワンピースがよく似合っている。
両耳には大ぶりだけれど上品な黒とゴールドのイヤリング、指に光るジュエリーは綺麗な手元を強調していた。

この人は、本当にいつも洗練されているなぁ、と感心しながら、みちかの顔はいつのまにかほころんでいた。
さっきまで緊張していた自分はすっかりどこかへ行ってしまったようだ。
純粋に、ひばりに会えて嬉しくて、心が躍る。
そもそも友人と、こうしてランチをする事自体、とても久しぶりだった。
ママ友ではなく、高校時代の友人。
想い出が波のように押し寄せ、無条件にあの頃の感覚を一気に取り戻す。

目の前に座ったひばりを前に、思わず「ふふふ。」と笑ったみちかに「やだ!なに?お酒でも飲んでた?」と、ひばりがわざと怪訝な顔をしてみせた。