そんなオジさんにつられるように、こっちもお酒が回っているらしいお父さんがポツリと呟いた。



「もういつ嫁に行くか分からないよなぁ…大事に大事に育ててきた俺の愛する朱里ぃ…」



お父さんがホロリと涙を流し、その場はさぞ感動的なムードだと思うかもしれない。

でも現実は全然違う。

何故なら、お父さんは私の1歳の誕生日のときから毎年この台詞を言っては涙しているから。

だから、また始まった…と言う感じで感動している人は毎年誰もいないのだ。



「その台詞、もう聞き飽きたわよ」

「去年も全く同じ台詞だったわよね。これじゃ朱里ちゃんが本当に嫁に行くとき全然感動しないわね」

「なんだと!?俺は毎年本気でだな…」

「まぁまぁ。いいじゃん、おめでたい日なんだから飲もうよ。ほら拓海、コンビニでビールとつまみ買ってこい」

「俺?うん、分かった」

「重たいだろうから私も一緒に行くよ」



こんな風にみんなで集まっているとき途中で買い出しを任されるのは決まって私達子供組なんだよね。