それからも俺は色んな女と付き合い続けて関係を持った。
いっそ、朱里に軽蔑されて嫌われてしまえばいいと自棄になっていたのかもしれない。
それでもたまに話せば朱里は変わらず俺に笑顔を向けてくれる。
「ねぇたっくん。今度勉強教えてくれる?」
「え?」
「たっくん昔から頭いいでしょ?だからお願い」
「あ…じゃあ今度要点纏めたノート作ってあげるよ」
「本当?ありがとう」
「…うん」
この頃の俺は、朱里と密室で二人きりになる自信がなかった。
きっと想いが爆発して、朱里を泣かせることしかできそうになくて…
諒介さんみたいに想いを伝えることができればどれだけいいだろう。
何度もそう思った。
だけど、伝えてしまえばもう朱里が俺に笑顔を向けてくれなくなるかもしれない。
それがたまらなく怖かったんだ。
断ち切りたい想いを断ち切ることもできず、
想いを伝えることもできない。
きっとこの二年間は、人生で一番苦しい二年間だった。