先輩の家はワンルームマンションですごく殺風景だった。

殆ど家具がなく、生活感も感じられない。



「もしかして先輩は一人暮らしですか?」

「いや、女と住んでるけど」

「え?ま、まだ高校生なのになんてことを…」

「アハハ、冗談だよ。女は女だけど…ほら」




先輩がベッドの掛け布団を捲ると、そこには真っ白な猫がスヤスヤ寝ていた。




「うわぁネコちゃん可愛い…」

「だろ?俺の一番大事な女だから」




ベッドで気持ちよさそうに眠る猫をソッと撫でる先輩の顔はとても優しく見えた。





「小春元気そうだね。良かった」

「呼び捨てすんな。つーか、おまえは名前で呼ぶな」



見れば見るほど謎なんだけど。

この二人、一体どういう繋がりなのかな?

ただの先輩後輩とは少し違うような気もするし…

そんな疑問が頭に浮かんでしまって二人を交互に見ていた私に気付いたのか、たっくんは優しく笑う。



「小春は2年前に俺が拾った猫なんだよ」

「え?たっくんがこの子拾ったの?」

「うん。でもうち母さんが猫苦手でしょ?だから困ってたんだけど諒介さんが引き取ってくれたんだ」

「へぇ…」



それは意外。結構優しいとこあるんだ。




「ちなみに小春は俺が惚れてる女の名前。芹沢に持ってかれちゃったけど」




先輩の優しさがほんの少し垣間見れたところで、突然先輩の口から衝撃発言が飛び出した。

これには驚きすぎて声も出ない。