昨日、初めて自分の気持ちに気付いた。
私は……たっくんが好き。
私が恋する相手、たっくんは言った。
矢吹先輩のことをいい人で優しい人、だと。
とても信じがたいけれど、たっくんが言うならきっとそうなんだろう、と信じていたのに。
「やっぱり先輩は最低最悪ですっ!」
「突然来るからだろ」
たっくんと一緒に先輩の家に行き、インターホンを鳴らすと上半身裸の先輩が気怠げに出てきて。
この時点でちょっとビックリはしたけど、それだけならまだよかった。
それなのに、通された部屋のベッドには当然のように下着姿の女の人がいて…
「もうあいつには帰ってもらったんだからいつまでも文句言うなよ」
「さっきの人、昨日映画館にいた人とは違う女の人ですよね?」
「あー、あれはセフレ2号。ちなみに3号もいるよ」
「…!?」
こ、この人のどこがいい人で優しい人……?
「諒介さんが何しようが勝手だけど、朱里に変なことしないでよ」
「純粋な女なんて俺の周りにいないから揶揄っただけじゃん。俺、処女には興味ないから安心して」
「……!?!?」
「朱里の前でそういう発言しないでくれる?」
やっぱり私はこの人がすごく苦手だ。
一緒に来るんじゃなかった…