◆◇◆拓海side◇◆◇
ジャーーーー……
朱里と二人きりのこの空間で、聞こえるのは水道の水が流れる音だけ。
朱里の手、すごく小さい。
朱里の指、すごく細い。
朱里の爪、すごく綺麗。
ねぇ朱里、こんな些細なとこまで愛しいって思ってること知ってる?
「た、たっく…もう大丈夫だから」
「もう少しだけ冷やそう」
「う…ん」
ごめんね?
火傷は大したことなさそうなんだけど、まだこの手を離したくないんだよ。
朱里の首に絆創膏を貼ったのは他の男に触れられてしまったところを見たくないから、って言ったら朱里はどんな顔するだろう。
俺、こんなに小さい男だったんだな…情けな。