目を閉じたままどれくらい経ったのかな。
たっくんは…何も言わない。
目を閉じているからどんな顔をしているのかも分からない。
パタンッ───
部屋の扉が閉まる音にハッとして目を開ける。
そこにたっくんの姿は…もうなかった。
ほら…やっぱり嫌われた。
きっと軽蔑したよね?
全然大丈夫じゃないじゃん。
隠し続ければよかった…
体を起こしてベッドに腰掛けながら俯いてそんなことを考えていた時、
ガチャッ──
再び部屋の扉が開き、たっくんが入ってきた。
その表情は、いつもと何ら変わらない。
「急に出て行ってごめんね。ちょっと家に戻ってた」
「たっくん、あのね…この首のことなんだけど…」
「待って。はい、絆創膏貼っといたよ」
「え?」
「体調はどう?ご飯食べれそう?」
「あ…うん、食べれそう」
「そっか。朱里の家、食材何もないってオバさん言ってたからうちに行こ。しんどかったら横になってていいから」
「うん…」
何も……聞かない?
不思議に思いながら首元にソッと触れてみると、確かに絆創膏の感触がした。