「朱里、もう泣かないで…」
ベッドで横になっている私を、タオルケット越しにソッと抱きしめるたっくんにドキドキする。
いつから…こんなにドキドキするようになったのかな。
いつから…こんなにたっくんを好きになってたのかな。
そんなことも分からないほど、私を再び追い掛け始めたあの日から、たっくんは誰より一番私の近くにいたんだ。
「朱里、汗かいてる。タオルケットお腹だけに掛け…」
「やっ…!!」
顔だけ出ている状態だったタオルケットを少し下げられると、パニックになる。
たっくんにキスマークを見られたら嫌われる。その思いでいっぱいで、それを隠すように首元を手で隠した。
「……首に何かあるの?」
「やっ…違っ……」
「見せて。大丈夫だから」
いつも通り優しくしてくれるたっくんに……隠し事をしたくないと思った。
首元から手を離したのと同時に、目をギュッと閉じたのは…
“それ見て芹沢がどんな顔したか今度教えてよ”
先輩の言葉を思い出し、たっくんの顔を見るのが怖かったから。