「顔赤いね。熱あるかな?」



ううん。きっと顔が赤いのは、暑いのに首の痣を隠すためにタオルケットにすっぽり入っているから。





「熱はなさそうだけど…」




でも一番の理由は…たっくんがおでこをコツンってしてくるから。



たっくんは子供の頃から私が熱を出すと必ずおでこを当ててくるからこんなの慣れっこのはずなのに。

それなのに…今日は心臓が潰れちゃいそうなほど苦しいよ。





「朱里どうしたの?何かあった?」

「…っ」




どうして…言えないのかな。

どうして…こんなに必死に隠そうとしてるのかな。





「何かあったならさ、俺に言ってよ」





たっくんがサラリと私の髪を優しく撫でると、また涙が溢れてしまった。



そっか。私がたっくんに言えないのも知られたくないのも…たっくんに嫌われたくないから。





近くにいるとドキドキするけど、嫌われてたっくんが私から離れていくのが怖いから。

私の髪に優しく触れるこの温もりを失いたくないから。




この気持ちの正体がずっと分からなかった。

だってたっくんは小さな頃からいつも近くにいたから。




どうして幼馴染みのたっくんにこんなにドキドキするのか。

どうして無意識にたっくんのものばかり買ってしまうのか。

どうして今まで普通にできていたことができなくなってしまったのか。




近くにいすぎて気付けなかった。

私は……たっくんのことが好きなんだってことに。




もちろんたっくんのことは昔からずっと好き。

でもそうじゃない。

幼馴染みとしてじゃなく、男の子として…たっくんのことが好き。


私…たっくんに恋してるんだ。