「はぁ?拓海くんと離れたくない?そんなのどうしようもないじゃん」
午後の体育の授業は自習になり、体育館に移動して各自好きなように過ごすことになった。
体育は男女別、男子は今日外だし…今のうちに、と、ユメちゃんに相談を持ち掛ければ、呆れたようにそう言い放たれてしまう。
「ユメちゃんは?ヨッシーに会えなくて寂しくなったり不安になったりしない?」
「しない。てか、そういうの面倒くさい」
キッパリ言いきったユメちゃんはどこからか持ってきたバスケットボールを人さし指の上でクルクルと器用に回す。
「おお、すごい、お見事っ!」
尊敬の眼差しで拍手を送る私に、ユメちゃんはまた呆れ顔。
「本当呑気な子。悩んでるんじゃなかったの?」
「そ、そうでした…」
「…ったく。ハッキリ拓海くんに言えば?離れたくなーいって。あんたがそう言えばバイトするのもやめるでしょ」
たっくんが頑張ってバイトしようとしてるのを、私の自分勝手な気持ちで止める。
私…そんなことしたいわけじゃない。
膝を抱えたまま俯くと、ユメちゃんは私の背中をバシッと叩く。