高校最後の夏休みが終わると、本格的に受験モード一色になった。

心なしか、クラスの雰囲気もピリピリしてる。

そんな中でも、たっくんはいつも通り穏やかだ。





「俺、バイトしようと思うんだよね」





お昼休み。教室で一緒にお弁当を食べながらサラリとそんなことを言っちゃうたっくんに、クラス中の視線が集まったのは言うまでもない。

あらら…みんなが必死に勉強してる時になんてことを。




「バイトって…このタイミングで?受験生だよ?」

「平気平気。絶対受かるから」




たっくんならきっとそうなんだろうけど…




「で、でも昭栄大だよね?かなりレベル高いよ?」

「余裕だって。それでさ、大学に行っても続けられるようにその周辺で探してるんだよね」




いつの間にそんなこと考えてたの…?

毎日一緒にいるけど、そんな話題出なかったし、バイトしたい素振りなんて一つも見せなかったのに。