「で、やっぱり一緒に寝るんだね…」

「え?当然じゃん。そのためにこのテントがあるんだから」



小さいテントの中に敷いた布団に二人で一緒に横になり、手を繋ぐ。

たっくんの手は大きくて、温かくて…すごく落ち着く。



「朱里…これから先、悲しいときや苦しいとき、泣きたいときは俺と分け合おう」

「分け合う…?」

「うん。人生って楽しいことばかりじゃないから。もしも壁にぶつかったら二人で一緒に悩んで迷って…そうやって支え合っていきたい」



一緒に生きていくってそういうことなんだ。

悲しみや苦しみを分け合って、嬉しさや喜びは分かち合って。

それだけで…気持ちがスーッと軽くなった気がした。



「朱里、聞いてる?」

「ん…」




切なさを知った夏の日。

少しだけ大人になれたような気がしたけれど…




「やっぱり寝ちゃうかー。どこまでも呑気なお姫様だな」



大人への道は、まだまだ遠いのかもしれない。