「凜ちゃん、俺フリー!年中彼女募集中!どう?ねぇどう?」



ハイッ!と元気よく手を挙げたのはリュウジくん。

どうやら、凜ちゃんの可愛さにやられちゃったみたいだけど…




「リュウジ先輩はタイプじゃないもーん。凜はイケメン大好きだから拓海先輩がドストライクなんだもーん」

「くっそ、またそれかよ。イケメンは得だよなぁ」




こんな凜ちゃんの発言にリュウジくんはどんより、私はヒヤヒヤ。

まさかまた可愛い小悪魔がたっくんを狙ってる…?



「凜ちゃん…もうたっくんを誘惑しちゃダメだからね」

「分かってますよぉ。なーんの心配もありませぇん」

「ほんと?よかったぁ」



私が安堵のため息を漏らせば、凜ちゃんは大きな瞳でたっくんを見つめ、ウフッと可愛く笑って。




「拓海せーんぱいっ!凜とひと夏のアバンチュールしませんかぁ?」




上目遣いと多めの瞬きを乱用する凜ちゃんは、すっかり小悪魔モード。

言ってるそばから……アバンチュールって。

何も分かってないし。

フリーになった途端たっくんを誘惑するなんて凜ちゃんってば油断も隙もないんだからっ!

と、心の中で怒っている私とは違い、凜ちゃんの方に視線を向けたたっくんは至って冷静。