「ユメちゃん、ちょっといい?」

「ん?なになに?」

「朱里とマサト、何かあったの?」

「ああ、全然大したことじゃないよ。あのね…」




なるほど……

つまり纏めると昼休みユメちゃんが席を外してた間にマサトがいて、朱里はマサトに凭れ掛かって寝てたと。

それで、マサトは顔を赤くしてたと。

その時マサトの制服汚しちゃったから、今慌ててマサトのとこに行っちゃったと。



これは…マズイかも。

ほんと、朱里は昔からいつでもどこでも寝ちゃうから困ったものだよ。

マサト、前も朱里に顔赤くしてたしあの天使級に可愛い寝顔まで見ちゃったら…

確実にマズイ。

とにかく、俺もマサトのクラスに…


そう思い、足早に教室を出ようとする俺をタイミング悪く担任が引き止める。




「芹沢、進路調査票の再提出ご苦労さん」

「遅くなってすみません。今度はちゃんと自分の意思で決めました」

「昭栄大とは随分レベル高いとこにしたな。ま、おまえなら余裕か。そうそう、昭栄大といえば…」



このタイミングで始まった長話に、ため息しか出ない。

面倒だけど、とりあえず笑顔で相槌打っとこうか。