「ユメちゃんっ!たっくんとチューしちゃったの!?」
「はぁ?バカ、するわけないじゃん。朱里を起こすために言っただけだよ」
「ホッ。良かった…」
「そんなことより。あんたの隣にいた男の子誰?色白で目クリクリしてて超可愛い子だったじゃん」
ん?隣にいた男の子…
「あっ、そうだ!マサトくんは?」
「さっき教室戻ったよ。てっきり朱里が拓海くん以外の人とイチャついてんのかと思って修羅場を覚悟したんだからね?」
「イチャつく…?」
「だって朱里がマサトって子に寄り掛かって寝てたから。その時マサトくんはガッチガチの真っ赤っか。ウブな少年だねぇ…可愛いぞ」
「えっ、本当?どうしよう、迷惑かけちゃった…」
「大迷惑だろうね。ブレザーに朱里のよだれ付いてたよ。可哀想に…」
「よ、よだれ!?嘘でしょ…」
私、なんてことを…!
今すぐマサトくんのとこ行って謝って、クリーニング出さなきゃ!
そう、思ったのに。
キーンコーンカーンコーン─────
「朱里、予鈴鳴ったよ。次移動教室なんだから急いで!」
「あ…うん」
早く謝りたかったのにタイミング悪く予鈴鳴っちゃうし、次は移動教室だし。
どうしよう。マサトくんの連絡先も知らないし…放課後すぐに謝りに行こう。