春のそよ風が気持ち良いこの季節。

この時期は中庭でランチするのが大好きなんだ。

学校の中で、ちょっとしたピクニック気分を味わえるから。




「朱里とランチするの久しぶりだよね。拓海くんはいいの?」

「うん、今日はリュウジくんと食べるんだって」

「へぇ、最近一段と朱里にくっついてると思ってたけど、やっと落ち着いたみたいだね」

「たっくんが心配症なのは昔からだから」

「いや、心配させるあんたにも原因はあ…」

「あ!今日のお弁当、筍のおむすびだ。春だねぇ」



お母さん、いつも旬の食材を使ったお弁当を作ってくれるんだよね。

私もこんなお弁当作れるようになりたいな。

今度教えてもらおっと。




「パクパクおむすび食べてるその呑気さが彼氏を過保護にしてるっていい加減気付け?」

「うーん、美味し~い…ん?ユメちゃん何か言った?」

「ダメだこりゃ…私、お弁当だけじゃ物足りなかったから購買で何か買ってくるね」

「うん、いってらっしゃーい」



ユメちゃんのお弁当、結構ボリュームあったのにまだ食べれちゃうなんてすごい。

そういえばユメちゃんって昔からよく食べるけど、細いままだ。

そんなことを考えながら美味しいおむすびを頬張っていると、私の前に影ができた。



「…こんにちは」



上から聞こえてきたその声に顔を上げてみると、そこにいたのはマサトくんだった。