「すっごく美味しいからおすそ分けしたくなっちゃった」
「ドキドキするから普通に食べさせてよ…」
「ドキドキさせたいんだからいいじゃん」
「ズルイよ。たっくんにも少しはドキドキしてほしいのに」
「めちゃくちゃしてるって。ほら、」
私の後頭部に手を回し、胸に埋めるように抱きしめられると聞こえてきた胸の音。
そこは、たしかにドキドキと脈打っていた。
ドキドキしてて、幸せそうで。
たっくんも、私と同じだ。
「朱里、最高のバレンタインをありがとう」
「どういたしまして。喜んでくれて嬉しい」
「お返しに来月のホワイトデーは、たーくさん甘やかしてあげるから…覚悟しといてね?」
「…っ、」
耳元で甘く囁かれると一ヶ月後、自分の心臓が甘々攻撃に耐えられるのか本気で心配になった。
激甘モードに入ったたっくんの甘さには、
甘い甘いガトーショコラでも…絶対に敵わない。