「た、たっくん…ギューッ」
とりあえずギューッってしてみたり、
「ヨシヨシ、いい子いい子…」
あとは…ナデナデしてみたり。
私にはこんな子供みたいなことしかできないけれど、それでもたっくんは目を細めて嬉しそうに笑ってくれる。
えっと、次は…たくさん甘やかしながらガトーショコラを食べさせてあげるんだったよね。
恥ずかしいけど…バレンタインだもん。
「あ、あーん、して?」
「あーん」
全く恥ずかしがる様子もなく口を開くたっくんにこっちが恥ずかしくなってしまう。
そのまま数秒間フリーズしてしまうと、催促するみたいに口を開けたままこっちをジッと見つめてくるから…意を決して端っこの方を小さくちぎると、たっくんの口元に運んだ。
たっくん、笑いながらパクッと食べてくれたのはいいんだけど………まさかの指ごとですか。
「ゆっ、指まで食べてどうするの!」
「だって美味しそうだったから。もう一口ちょうだい」
「う、うん」
その後も口元に運ぶたび涼しい顔して指ごと食べるたっくんと、いちいちドキマギする私。
たっくんを甘やかすということは、ドキドキしてもらわないといけないのに…
私がこんなにドキドキしちゃってどうするの。