◆◇◆拓海side◇◆◇
「「お願いしますっ!!」」
頼みがあると突然呼び出され、学校帰りシュウの家に行った俺は思わず立ち尽くす。
目に映るのは、俺にひれ伏すシュウとハルの姿。
なんでいきなり土下座?
「突然だけど…明日勉強教えてくれっ!」
「えー…、本当に突然だね」
「もうすぐ試験なんだよ。拓海だけが頼りだからさぁ…明日拓海ん家行っていい?」
「…分かったよ。その代わり、夕方からは朱里と約束があるからそれまでね」
明日はバレンタインだ。
夕方チョコ渡しに行くからねって朱里が恥ずかしそうに言ってくれた。それだけで嬉しすぎて可愛すぎて死にそうだったのに、チョコなんて貰ったらもう…
そんなわけで明日はいーっぱいイチャつく気満々なのに、前みたいに長々居座られたらイチャつけない。さっさと帰らせないとな。
「よっしゃー!さすが拓海っ!神!!」
「勉強終わったらさっさと帰ってよ?」
「りょーかい!ところで気になってたんだけど…その荷物なんだ?」
俺が手に持っている紙袋に目を落とし、ハルが不思議そうな顔をする。
それも無理はなくて、この紙袋はもう原型を留めていないほど膨れ上がってパンパンになっているから、はたから見れば不思議なものでしかないのだろう。