「はい、あーん」

「た、たっくん…」



ロウソクの火が全部消えても、たっくんは私を離してはくれない。

今だって私を膝に乗せたまま、後ろからケーキを口元に運んでくるたっくんに戸惑ってる。



「もう子供じゃないんだから…」

「分かってるよ。でもさ、俺に朱里をくれたんでしょ?だったら好きにさせてよ」

「好きに、って……?」

「誕生日だからね。とにかく朱里を可愛がって甘やかしたいなって」



満面の笑みを浮かべながら言うと、早速たっくんは私を甘やかし始めた。

割といつも甘やかされてる方だけど、今日は一段と甘々なような…



「はい、ジュースも飲んで」

「コ、コップくらい自分で持てるよ…」



こうやって甘やかされて、



「ケーキもう一口いる?」

「あ、じゃあ…いる」

「朱里は口ちっちゃいから小さくしてあげるね」

「あ…りがと」

「はい、あーん」



どんどん甘やかされて、



「ほっぺにクリーム付いてるよ?取ってあげるね」

「…ひゃっ!?な、舐めた…?」

「わ、今の声可愛い。もう一回聞かせて?」

「無理だよ…」



とにかく甘やかされて可愛がられて…

たっくんに私をあげるってこういうことなんだ、ってちょっと実感した。

激甘モードに突入すると心臓が持たない…