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「朱里…平気?」

「ん…大丈夫」



恥ずかしさと緊張でほとんど記憶がない。

だけど微かに覚えていることは…

たっくんが宝物みたいに優しく触れてくれたこと。

何度も何度も「可愛い」って「愛してる」って言ってくれたこと。

たっくんも私と同じくらいドキドキしていたこと。

とにかく……幸せだったこと。




「朱里、ありがとう」

「え…?なにが?」

「俺に全部くれて。これで本当に朱里の全てを知れたから嬉しい」

「そ、そういう恥ずかしいこと言わないで…」

「なんで?すっごい可愛かったよ」




そんなやりとりをしている内になんだか恥ずかしくなって、たっくんに背中を向ける。

だけど、すぐに後ろから包み込むように抱きしめられてしまって…



「朱里のこと全部知ったらますます好きになっちゃった」



サラッとそんなこと言うものだから、余計に恥ずかしくて振り向くことすらできない。

本当は、たっくんと向かい合ってギューしたいのにな…