次の日、マサトの部屋に行くとそこはかなり荒れていた。

本棚の本は散乱して、机の上のものは全て床に落とされて、ゴミ箱のゴミはそこら中に散らばっていて。



「うわ、随分派手にやったね」

「…」

「親子喧嘩?」




俺がそう問えば、マサトはゆっくりと頷いた。



「そっか。俺もたまに親と喧嘩するから分かるよ」

「…」

「近くにいる分ぶつかっちゃうけどさ、きっと親は一番の味方だと俺は思うよ」

「…」



やっぱり“味方”という言葉には反応するな。

じゃあ、逆にマサトにとって“敵”って……?




そんなことを考えながら荒れた部屋を片付けていると、散乱した本の中に俺が作ったノートが紛れていることに気付く。

床に落ちていたそれを拾ってパラパラと捲ってみると…

俺は、思わず目を見開いた。



「マサト、宿題…」

「…やらないと外出すって言うからやっただけ」

「うん、エライね。じゃあちょっと見せてもらうよ」


嬉しい気持ちを抑えきれずに上機嫌にノートを1ページずつ隅から隅までチェックする俺に、マサトはどこか納得いかないような顔を見せる。