「マサト、ノート見てくれた?」
「…偽善者が触ったものになんか触りたくない」
「触らなくてもいいよ。だから見てほしい」
「うるっさい…!僕に指図すんなっ!」
…今日もマサトは机に突っ伏したまま動かない。
だけど、今日はまだマシな方かもしれない。
酷いときは、暴言を吐きながらモノを投げつけられることもあるから。
さすがに刃物を投げつけてきたときは焦ったけど…
でも、ここで逃げたらマサトとちゃんと向き合えない。
「今日はさ、野外学習しようよ」
「…………野外?」
俺の提案に、マサトは突っ伏していた顔をゆっくりと上げてこちらに視線を向ける。
「そう、外に出よう。家にばかりいちゃダメだよ」
「………外は敵だらけだ」
“外に出よう”という言葉にビクッと体を震わせたな。
これはNGワードか。
「大丈夫。俺は味方だよ」
「…」
“味方”という言葉に一瞬目を見開いたのを見逃さなかった。
これは…NGワードではなさそう。